杉村太蔵“あなたの一票で日本は変わらない”と発言したのはなぜ?2500字の長文で説明
2024年10月29日 18:00
芸能
この件について、杉村は「【号外!全文無料!!杉村太蔵メールマガジン】『あなたの一票が日本を変える』は本当か?」と題した記事を公開し、真意を説明した。
以下、全文。
大前提として、我々ひとりひとりに与えられた選挙権を、すべての候補者、すべての政党の主義主張にしっかり耳を傾けて、ご自分の考えにもっとも近いと思われる候補者や政党を選んで一票を投じる行為は民主主義の基本であり、とても大切なことです。
したがって、ぜひとも投票所に足を運んでもらいたいと思います。同時に私が申し上げたいことは、今回の総選挙で立候補されたすべて皆様に心から敬意を表します。やはり民主主義の原点である選挙は立候補してくださる方がいてはじめて成立します。私も経験しましたのでよくわかりますが、選挙に立候補するということは本当に大変な覚悟と労力が求められます。
そうした中、私も26歳という若さで国政に挑戦し、20代後半を衆議院議員として活動し、その後は一有権者として外から日本の政治を眺めてきました。その中で、最近つくづく感じていることのひとつに、選挙になると若者の投票率の低さが問題視されることがあります。行かないよりは行った方がいいわけですが、一方で健全な民主主義国家ではどこも年齢が上がるにつれて選挙の投票率は高く、一方、若い世代の投票率が低いのは何も日本に限った話ではありません。
そうした中、ぜひ読者の皆様と一緒に議論したいテーマとして、「あなたの一票が日本を変える」は本当か?という問題ですね。私はどう考えてもこれは言い過ぎではないかと感じているのです。特に若い世代に対して、「あなたの一票が日本を変える」というのは、政治に対する過度な期待を抱かせる危険があるのではないかと強い懸念を抱いています。
冒頭申し上げた通り、有権者として一票投じていただくことは極めて大切なことです。ただ、これまで数々の選挙が行われてきましたが、その都度、多くの有権者から聞かれる声として、「政治は変わらない」という意見をよく耳にします。これはいったいなぜなのでしょうか?
私なりに考えていることをまとめますと、民主主義国家において健全な選挙を繰り返した場合、ある一定の年数が経過したら有権者は大きな変化を感じられなくなるのではないか、という点です。今回の総選挙は現行憲法下では第50回目になります。50回も総選挙を繰り返した結果、我々の国というのは基本的にはかなり良い国になっているのではないでしょうか?すでに50回の選挙を経て、大きな問題点は改善されているのではないか、という点です。
結果としてそれほど選挙のたびに大きな変化を感じることは難しくなっているのではないかと思うのです。つまり、成熟した民主主義国家では選挙のたびに政治の変化を感じ取るのは難しくなってきており、投票率は低下傾向にあり、有権者からしたら選挙はどこか権力の椅子取りゲームに見えてしまうのではないかと思われるのです。
逆に選挙ごとに政治の変化を感じ取るとしたら、私たち有権者はかなり勉強しなければその変化を感じ取ることは難しいと思います。今でも実は国会では年間で100本近くの法律が改正されています。数字だけを見れば大きな変化です。よくよく勉強したら社会は変化しているのです。しかしながら、多くの有権者からは「政治は変わらない」と断罪を受けるわけです。それは有権者が政治の変化を感じにくくなっている、その背景には選挙を繰り返している中で国家としての制度的な完成度が高まっている、とも言えるのではないでしょうか?
それからもうひとつ、若い方々に「あなたの一票が日本を変える」と教えることは政治に対する過度な期待を助長することにつながらないでしょうか?私はやはりこれまでもこれからも日本の社会を変えてきたのは政治家ではなく、民間企業のイノベーションによるところがはるかに大きいと考えています。私たちの暮らしや生活をより豊かにしてきたのは政治家ではない。民間人だというのが私の基本的な考えです。加えて、自分たちの生活をよりよくするのは、やはり個々人の努力によるものが極めて大きい。まずはそのことをしっかりと教えることが私は重要だと考えています。
自分たちの暮らしの不満を政治にぶつける気持ちはわかりますが、政治に対する過度な期待を抱かせるのは決して良くないと考えます。菅元総理も国会で言明されていましたが、まずは自助です。自分のことは自分で、というのは当たり前のことなのです。その上で共助・公助という議論になるわけです。
ただ、実際に政治は何もしていないわけではもちろんありません。日本の子育て支援を見ても1947年に児童福祉法を制定にはじまり、その後、母子保健法、育児休業法、次世代支援対策推進法、少子化対策基本法、児童手当法、働き方改革関連法、幼児教育・保育の無償化、子ども家庭庁の創設など、ずっとやってきているわけです。ただ、これらは有権者もその変化をしっかり勉強しないとなかなか感じることは出来ません。おそらく、私たちを育ててくださった世代の子育て支援の状況からしたら今の子育て支援の充実度は比べものにならないでしょう。
いずれにしても「あなたの一票が日本を変える」というのはやや言い過ぎだと思いますし、「あなたの一票では日本は変わらない」、それよりも、選挙後に当選した人がどういう政治を行うかを有権者としてしっかり注視をすることの方がはるかに日本を変えるきっかけになると思います。言い換えれば、それ以上に実際に当選した人たちに「もっとこうしてほしい、もっとこうしたら良くなる」と働きかけることの方が効果的です。一票入れるだけでは全くもって不足です。つまり、日本を変える最も大きな原動力はやはり我々民間企業によるイノベーションの方がはるか大きいです。
さらに言えば、我々の生活を豊かにするのはやはり我々個々人の努力によるところが非常に大きいということを若い有権者にしっかり伝えることも重要だと思います。政治に過度な期待を抱かせるよりも、自分たちひとりひとりが社会のために何ができるか、どんな貢献ができるかをしっかり考えて行動する有権者を増やしていくことが重要ではないでしょうか?
本日、第50回衆議院議員総選挙の投票日です。残すところもあとわずかとなりました。ぜひ投票所に足を運んでいただき、大切な一票を行使していただきたいと思います。