二所ノ関親方の名古屋場所総括 自分の相撲を貫いた豊昇龍 期待膨らむ伯桜鵬

2023年07月25日 04:50

相撲

二所ノ関親方の名古屋場所総括 自分の相撲を貫いた豊昇龍 期待膨らむ伯桜鵬
<大相撲名古屋場所千秋楽>(優勝決定戦)北勝富士(左)と激しくぶつかる豊昇龍(撮影・椎名 航) Photo By スポニチ
 大相撲名古屋場所で初優勝を果たし大関昇進を確実とした関脇・豊昇龍(24=立浪部屋)が24日、名古屋市南区の立浪部屋宿舎で会見した。3関脇の大関獲りなど話題の多かった場所を、本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が総括。新大関の優勝要因と今後の課題を分析し、新入幕で旋風を起こした伯桜鵬(19=宮城野部屋)にも大きな期待を寄せた。
 場所前は3関脇による初の3人同時昇進を期待しましたが、終わってみれば豊昇龍の安定感だけが際立ちました。千秋楽の2番、土俵下から見守っていましたが、豊昇龍は完全に自分のペースに持ち込んでいました。伯桜鵬戦はにらみ合いに持ち込む心理戦で揺さぶって快勝。決定戦も先に仕掛け、北勝富士に苦しまぎれの「引き」を選択させました。ベテランのような取り口で、大関にふさわしい内容でした。

 いつもと違うことをして自滅した他の2関脇と比べ、自分の相撲を取り切ることを徹底していました。もう少し体は大きくなるはずで、パワーは強化されるでしょう。粗削りなぶん伸びしろは十分あります。ただし、霧島と同様、自分の形を持っていないので、これからつくっていくことは必要だと思います。私たちは朝青龍さんの姿をダブらせますが、叔父さんを超えるためには「これが豊昇龍」を確立させることを目指してほしいものです。

 猛暑の場所を盛り上げた熱き男は19歳の新入幕。伯桜鵬は優勝してしまうのでは、と思わせる勢いがありました。相撲のうまさは指摘してきましたが、物おじすることなく気迫を前面に出すスタイルは魅力的です。千秋楽は相手の挑発に付き合って自分を見失ってしまいましたが、まだ入門から4場所目。いろんな経験をして引き出しが増えていくことを想像するだけで期待は膨らみます。これから始まるサクセスストーリーの序章になったと思います。

 最後に言わせてください。14日目に変化した関脇の大栄翔と若元春。正直、がっかりです。大関獲りを軽く考えていると思えてしまうし、目先の1勝を求めてそれ以上のものを失った。しかも、千秋楽はともに敗戦。最低のパターンで終わってしまいました。来場所以降に昇進の可能性を残したとはいえ、一からやり直す気持ちでやらないと大関は遠いものとなるでしょう。
(元横綱・稀勢の里)

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