ヨーグルトを食べ過ぎるとどうなる?「病気になる」「太る」という噂も[管理栄養士監修]

2023年11月08日 09:00

ヨーグルトを食べ過ぎるとどうなる?「病気になる」「太る」という噂も[管理栄養士監修]
腸内環境を改善し、便秘解消に役立つヨーグルトですが、食べ過ぎるとどうなるのでしょうか? ヨーグルトの食べ過ぎによるデメリットを、管理栄養士さんに聞いてみました。 どれくらいで食べ過ぎとなるのか、食べ過ぎによって癌になると […]

腸内環境を改善し、便秘解消に役立つヨーグルトですが、食べ過ぎるとどうなるのでしょうか? ヨーグルトの食べ過ぎによるデメリットを、管理栄養士さんに聞いてみました。

どれくらいで食べ過ぎとなるのか、食べ過ぎによって癌になるという噂は本当なのか……などの疑問にもお答えします。

ヨーグルトは食べ過ぎても大丈夫?

ヨーグルト 食べ過ぎ

ヨーグルトは、多くのメリットをもたらしてくれる食べ物です。しかし、必要以上に食べ過ぎることでデメリットも生じます。

太る?下痢になる?ヨーグルトを食べ過ぎるデメリット

デメリット① 太る

ヨーグルトを食べ過ぎると、糖質と脂質の過剰摂取により太る恐れがあります。とくに、加糖タイプのヨーグルト、飲むヨーグルトの過剰摂取は要注意です。

▼糖質と脂質が肥満につながるしくみ

糖質 過剰に摂取すると、体内で活用されず余ってしまいます。すると、余った糖質が脂質へと変換されて、体に貯蓄され肥満の原因になります。
脂質 ヨーグルトには乳脂肪という脂質が含まれています。ヨーグルトの過剰摂取は脂質の過剰摂取につながり、糖質と同様、過剰摂取により余った脂質は体に蓄積されるため肥満の原因となります。

デメリット② 下痢になる・お腹壊す

ヨーグルトの食べ過ぎにより、下痢やお腹を壊す(腹痛)といった症状があらわれることがあります。これらは、乳糖不耐症の人に多くみられます

腹痛下痢

ヨーグルトを消化するための酵素(ラクターゼ)が少ない乳糖不耐症の人は、ヨーグルトの消化がスムーズに行えず、消化不良により、下痢や腹痛等の症状が出ることがあります。

牛乳に比べ、ヨーグルトの乳糖はある程度分解されていますが、食べ過ぎにより症状が出ることがあります。ちなみに、成人の4人に1人(25%)ほど乳糖不耐症だと言われています。

デメリット③ アレルギー反応を起こす場合がある

ヨーグルトを食べ過ぎることで、遅延型フードアレルギーを発症する恐れがあります。

特定の食品を大量に摂取すると、IgE抗体が大量に合成され、アレルギーを引き起こします。主な症状としては、喉の痛み、蕁麻疹、呼吸困難等です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。

アレルギー症状

デメリット④ 栄養バランスが偏る

ヨーグルトばかり食べ過ぎていると、それだけでお腹がいっぱいになってしまうこともあるでしょう。この場合、必要な栄養分を補えなくなり、栄養不足に陥ります。

ヨーグルトには、

  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • 食物繊維

がほぼ含まれていないため、様々な病気を発症するリスクを上昇させる恐れがあります。

デメリット⑤ ガス(おなら)が溜まる

ヨーグルトに含まれる乳糖が原因で、食べ過ぎると、

  • ガスが発生しやすくなる
  • おならの臭いが強くなる

場合があります。

乳糖を消化する酵素が少ない・持っていない場合、乳糖の分解と吸収を行えません。そのため、消化不良の成分が胃腸内に溜まり徐々に腐敗して、有毒ガスを発生させる恐れがあります。身体の中の有毒ガスが増えると、おならの増加や強烈な臭いの発生につながります。

ヨーグルトの食べ過ぎで「病気になる」「癌になる」って本当?

ヨーグルトを必要以上に食べ過ぎると、癌のリスクが高まると考えられます。

リスク① 大腸ガン

脂質の高い食事は、大腸ガンのリスクを高めます。ヨーグルトは乳製品の中で低脂質ですが、過度に食べ過ぎると脂質(飽和脂肪酸)の過剰摂取により、大腸がんの発症リスクが上昇することがあります。

脂質を取り過ぎると、

  1. 脂質の分解と消化を促すために二次胆汁酸の分泌が活性化される
  2. 二次胆汁酸が大腸内に侵入すると、悪玉菌が増殖しやすくなる
  3. 悪玉菌の増殖により、腸内環境が悪くなる
  4. 腸内環境悪化により、大腸がんのリスクが高まる

と考えられています。

リスク② 乳ガン

ヨーグルトなどの乳製品を適量摂取することで、乳ガンの予防に働きます。しかし、過剰摂取することで乳ガンリスクを高めます。

ヨーグルトの過剰摂取は、肥満を誘発させる可能性があります。肥満は、乳がん発症リスクを上昇させる原因となるため要注意です。

リスク③ 前立腺ガン

国立がん研究センターによると、ヨーグルトに限らず、牛乳、チーズなど乳製品の摂取量が多いと、前立腺ガンのリスクが高くなるという報告*があります。

*乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について - 多目的コホート研究(国立がん研究センター)

ヨーグルトの食べ過ぎで「便秘になる」って本当?

ヨーグルトの食べ過ぎで、便秘になるというのは考えにくいです。

便秘になるというより、乳酸菌の種類やその時の体調、他の食べ合わせや生活環境などが関係して、ヨーグルトを食べても便秘改善につながっていないと考えられます。

200gは食べ過ぎ?ヨーグルトはどれくらい食べていい?

1日あたりのヨーグルトの摂取目安量は、大人も子供も100~200gほどです。

ヨーグルトパック

大きいパックの場合400gであることが多いので、1日で半分以上は食べないようにしましょう。小さいカップタイプは70~100gほどであることが多いので、1日2個までに抑えましょう。

適量であればイイコトづくし!ヨーグルトのメリット

整腸作用により腸内環境の正常化

ヨーグルトには、乳酸菌やビフィズス菌が含まれています。乳酸菌やビフィズス菌を体内に取り入れると、善玉菌が増加し、腸内環境が正常化されます。

便秘解消 腸内環境

腸内環境が良くなると、

  • 便通改善
  • 老化防止
  • 筋力低下防止
  • 肌荒れ防止
  • 太りにくくなる

などの作用が期待できます。

免疫力が整う

ヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌を摂取すると、腸内の善玉菌が増加します。すると、善玉菌が悪玉菌より優位な立場になり、免疫細胞が正常に機能するようになるため、免疫力向上が期待できます。

血糖値の急上昇を抑える

ヨーグルトに含まれている乳酸は、摂取した食べ物をゆっくり小腸へと運んでくれるため、小腸内での急速な糖吸収を抑制してくれます。その結果、血糖値の急上昇を抑えられます。

血管を強くする

強い血管

ヨーグルトに含まれているラクトトリペプチドという成分の働きにより、血圧上昇を引き起こすアンジオテンシン変換酵素の作用が抑えられることで、血管強化につながります。

血管が強くなると、血行が良くなり、隅々の細胞まで栄養分を届けることができます。そのため、細胞が十分に機能し、様々な病気予防に働くと考えられます。

精神が安定する

ヨーグルトに含まれるカルシウムには、心を落ち着かせる働きがあります。

また、ヨーグルトには、「幸せホルモン」と言われるセロトニンを生成するトリプトファン(必須アミノ酸)が含まれています。精神を安定させ、質の良い睡眠にも繋げてくれるでしょう。

参考サイト

  • 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について - 国立がん研究センター
  • 乳癌診療ガイドライン2022年版 - 一般社団法人 日本乳癌学会発行

監修者プロフィール

健康検定協会理事長
望月 理恵子

株式会社Luce代表取締役、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。

<Edit:編集部>

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