【大阪マラソン】国学院大3年・平林清澄 初マラソン日本新でV 日本歴代7位もパリ出られず

2024年02月26日 04:50

マラソン

【大阪マラソン】国学院大3年・平林清澄 初マラソン日本新でV 日本歴代7位もパリ出られず
初マラソンで優勝を飾った国学院大・平林清澄(撮影・中辻 颯太) Photo By スポニチ
 【大阪マラソン ( 2024年2月25日    大阪府庁前~大阪城公園の42・195キロ )】 箱根駅伝5位の国学院大のエース、平林清澄(21=3年)が、日本歴代7位の2時間6分18秒で優勝を飾った。日本学生記録2時間7分47秒だけでなく初マラソン日本最高2時間6分45秒も大幅に更新。自身は対象外だったものの、パリ五輪代表選考レースで衝撃の走りを見せた。来年9月の世界選手権(東京)、28年ロサンゼルス五輪へ向け、新星が現れた。
 平林は、爽やかに笑った。自身最長の箱根2区(23・1キロ)を上回る42・195キロの旅路を終え、栄光のゴールテープを切ると派手にガッツポーズ。実業団、海外選手を抑えて優勝し、日本学生記録、さらに初マラソン日本記録を打ち立てた。「率直にうれしい。勝負に徹して、タイムがついてきて良かった」と喜びに浸った。

 ハイライトは32キロ付近。急な上り坂で先に出たパリ五輪代表の小山を振り切り、一気に前へ。「やるからには攻めてやろう」。応援に駆けつけたチームメートを視界に捉えると、サムズアップポーズで応え、さらにスピードアップ。「僕は余裕を持って走る方が良い結果が出ている。ここからやるぞ、と気合も込めた」。ラスト10キロは2時間4分台の記録を持つキッサ(ウガンダ)と一騎打ち。「前に出てくれねぇかなと思いながら、開き直って自分のペースで押した」と強気を貫き、トップを死守した。

 「学生は箱根駅伝」という常識を覆した。1メートル68、44キロと軽量サイズで元々「自分が得意な土俵は長い距離」と感じていた。2年の夏、国学院大の前田康弘監督(46)に「マラソンで勝負したいっす」と直訴し、在学中でのマラソン本格挑戦がスタート。昨年は箱根駅伝後に仙骨の疲労骨折が発覚して断念したが、夏場は月間1200キロを走破するなど周到な準備を積んで来た。

 今年の箱根駅伝はエース区間2区で8人抜き区間3位と堂々の走り。今大会ではパリ派遣標準2時間5分50秒の目安となる1キロ2分58秒を刻むため、練習では疲労が蓄積された状態で1キロ2分55秒ペースのインターバルをこなしてスピード持久力を磨いた。

 国学院大の新主将として箱根駅伝も目指すが、4月に上海ハーフ出場など今後もマラソン強化を主眼に置く。「次のロサンゼルス五輪は代表を狙っていきたい。守りに入るより攻めていきたい」。衝撃の大阪から、平林の新たな挑戦が始まる。

 ◆平林 清澄(ひらばやし・きよと)
 ☆生まれ 2002年(平14)12月4日生まれ、福井県越前市出身の21歳。
 ☆経歴 美方高を卒業し、21年に国学院大入学。小学4年から中学まで片道4キロほどの山間の道を自転車通学。
 ☆競技歴 中学までバドミントンに親しみ、高校から本格的に長距離を始める。中3の時に寄せ集めのメンバーで出場した駅伝に魅せられた。元々は走るのが苦手。小学生の頃は「マラソン大会を3回仮病でサボった」。
 ☆実績 高校2年で5000メートル全国高校総体出場。視察した前田監督が「強気な走りに一目ぼれ」した。箱根駅伝は3年連続出場(1年=9区2位、2年=2区7位、3年=2区3位)。昨年11月の全日本大学駅伝7区区間賞。1万メートル自己ベスト27分55秒15。
 ☆大好物 「内臓が強い。米を人の倍食う」(前田監督)という大食漢は、汁なしラーメン「油そば」を愛する。お薦めは二子新地「油や鹿鳴」。

 ≪過去に陸連指定の大会完走が条件≫今大会はパリ五輪男子代表の最後の1枠を巡る選考大会だったが、代表選考の対象は過去に日本陸連の指定したマラソンで完走したことなどが条件で、初マラソンの平林は対象外だった。日本陸連で強化に携わる瀬古利彦氏は平林について「余裕抜群、センス抜群。楽しみですよ4年後。日本記録を出す力のある選手。次のロサンゼルス五輪の大エースになりそうな気がする」と絶賛した。今回、日本陸連が定めた設定記録2時間5分50秒を突破した選手は出なかった。選考大会は3月3日の東京マラソンを残すのみで、設定記録を突破した最速選手が代表となり、該当者がいなければMGC3位の大迫傑が代表となる。東京マラソンには日本記録を持つ鈴木健吾、世界選手権代表の山下一貴らがエントリーしている。

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