福島県出身・大波3兄弟 勇気の3勝 「3・11」初のそろい踏み 若元春「少しでも復興の力に」

2024年03月12日 04:30

相撲

福島県出身・大波3兄弟 勇気の3勝 「3・11」初のそろい踏み 若元春「少しでも復興の力に」
明生(左)を寄り倒しで破る若元春(撮影・後藤 正志) Photo By スポニチ
 【大相撲春場所2日目 ( 2024年3月11日    エディオンアリーナ大阪 )】 関脇・若元春が明生を寄り倒して初日から2連勝とした。東日本大震災から13年を迎えたこの日、兄の幕下・若隆元と弟の十両・若隆景もそれぞれ勝利。福島県出身の大波3兄弟が初めて「3・11」にそろって白星を挙げた。新大関・琴ノ若が朝乃山に敗れて初黒星を喫し、霧島と貴景勝も敗れる連日の波乱。横綱・照ノ富士は宇良を退けて初日を出した。
 思いを一つに、3兄弟が故郷へ白星を届けた。幕下で長男の若隆元が、十両で三男の若隆景が勝って迎えた幕内の土俵。次男・若元春は左四つ右上手の得意な形で明生を力強く寄り倒し、2場所ぶりに返り咲いた関脇で連勝発進とした。土俵入りでは地元後援会から贈られた化粧まわしを着用。3兄弟で番付最上位の若元春が最後に締め「3人そろって勝てたことに意味がある」と特別な日のそろい踏みをかみしめた。

 13年前、福島で被災した次男と三男は、既に角界入りしていた長男がいる荒汐部屋へ身を寄せた。若元春は地震発生時のことを「授業中に経験したことのない揺れで、何が起きているのか分からなかった」と今でも鮮明に覚えている。

 東京で約1カ月、避難生活を送った2人は、後に同時三役を果たす兄弟力士に成長した。「あの時は何もできないただの高校生だった。今こうして番付を上げて頑張っている姿を見てもらえるのはありがたいこと。少しでも復興の力になれればと思います」。昨年8月の福島合宿では、自身の想像を超える応援の熱さに驚き、逆に力をもらった。

 「土俵で一生懸命取る姿を届けたい」と話す元関脇の若隆景は、1年ぶりに関取として本場所に臨み、同じく連勝発進。右膝の大ケガで幕下まで転落しながら復活の道を歩む姿は、復興へ進む人々と重なる。地元への思いを胸に土俵に上がる3兄弟の活躍は、被災地にも力を与え続けている。

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