パリ五輪マラソン代表争い決着 MGCの改善点は…ペースメーカーも物議 補欠選出方法も一考必要か

2024年03月12日 11:55

マラソン

パリ五輪マラソン代表争い決着 MGCの改善点は…ペースメーカーも物議 補欠選出方法も一考必要か
パリ五輪・マラソン代表(左上から時計回りで)小山直城、赤崎暁、大迫傑、前田穂南、一山麻緒、鈴木優花 Photo By スポニチ
 マラソンのパリ五輪代表選考が、10日の名古屋ウィメンズで決着した。
 東京五輪で採用されたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)でまず上位2人を選出し、その後の指定大会のファイナルチャレンジでタイムをクリアした1人を選ぶという方式が、パリ選考でも進められた。

 その結果、パリ代表は男子がMGC1位の小山直城(ホンダ)、2位の赤崎暁(九電工)、3枠目はタイム突破者が現れなかったためにMGC3位の大迫傑(ナイキ)となった。

 女子はMGC1位の鈴木優花(第一生命グループ)、2位の一山麻緒(資生堂)に加え、大阪国際で2時間18分59秒の日本新記録をマークした前田穂南(天満屋)に決定した。

 最終選考会の名古屋ウィメンズ後の会見で、MGCについて日本陸連の高岡寿成シニアディレクター中長距離・マラソン担当は「良い仕組みだと思う。(今後も)やった方がいいという意見が出ると思う」とし、瀬古利彦・ロードランニングコミッション・リーダーは「(MGC)は悪いシステムではない。アップデートしてほしい」と一定の評価。28年ロサンゼルス五輪でもMGCのシステムは継続となる可能性が高い。

 では、改善点はどこか。MGCという大一番に対してピークを合わせて勝負強さをアピールした2人を選ぶのはアリだろう。ただ、その後のタイムアタックの指定レースでは大会ごとに気象条件などが異なる。男子3枠目が懸かった東京で物議をかもしたように、ペースメーカーの巧拙の問題も出てくる。

 これまでのマラソン界の発展に尽力してきた各主催者の顔を立てるために数大会が指定されているが、理想は3枠目決定はスピード重視の冬マラソンでの一発勝負だろうか。同じ条件ならペースメーカーの巧拙も言い訳にはできない。

 また、補欠も含めて最高の戦力を揃えるなら、補欠の選出にも一考が必要ではないだろうか。現行はファイナルチャレンジでタイムをクリアして3枠目が決まった場合、補欠はMGC3位の選手。タイムをクリアできず3枠目がMGC3位選手となった場合は、MGC4位が補欠となる。

 パリ選考に照らし合わせると、仮に名古屋ウィメンズで前田の日本記録を更新した選手が現れた場合、前田は補欠にも入らない。名古屋を制した安藤友香(ワコール)は当初の設定タイム(2時間21分41秒)を上回る2時間21分18秒だったが、前田が日本新を出したことで安藤も補欠に入らない。

 代表選手が故障などで出られない時にしか出番が回ってこない補欠は難しい立場ではある。それでも、当初の設定タイム突破選手を補欠に加えるという考えはあっていい。

 高岡SDは「今回の仕組みがどうだったかは、パリ五輪を見ないと言えない」ともしている。

 ちなみに東京五輪は開催が1年ずれ、開催地が東京から札幌に変更となったが、男子で6位の大迫、女子で8位の一山と日本最上位はともにMGC上位2人ではなく、その後のファイナルチャレンジでタイムを突破したランナーだった。

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