1年で再昇格の甲南大サッカー部 上位進出、1部定着見据えてチーム一丸 前期リーグ4月開幕

2024年03月14日 06:30

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1年で再昇格の甲南大サッカー部 上位進出、1部定着見据えてチーム一丸 前期リーグ4月開幕
わずか1年で1部復帰を果たし、今年新たなスタートを切る甲南大サッカー部 Photo By スポニチ
 関西学生サッカーリーグ所属の甲南大(神戸市)が、4月に開幕する前期リーグで2季ぶりに1部の舞台で戦う。22年度シーズン11位で2部降格で味わった悔しさをバネに1年で再昇格。今季はリーグ戦での上位進出、さらに今後の1部定着をチーム一丸で目指していく。
 最短で1部復帰を果たした甲南大サッカー部がさらなるチーム力強化に向けて新たなスタートを切る。再昇格の原動力となったレギュラー11人中7人を占めていた4年生が卒業したが、チームの規律面や練習の質を高めたレガシーを引き継ぎ、リーグ戦制覇、インカレ出場を目指していく。

 昨季、2部で13勝2敗7分けの勝ち点46で優勝を飾った。1部復帰は最重要課題ではあったが、1年後に1部校と渡り合うためにフィジカル強化を目指したトレーニングも並行して取り組んだ。

 昨年1月に就任した竹口清一監督(36)は「主将の當麻颯(=DF、新4年)や、泉彩稀(=MF、新3年)、板敷洸大(=GK、新4年)はリーグ戦1部も経験していますし、新人戦で結果を出して活躍した1、2年生に面白い選手もいます」と、新チームに期待を寄せている。

 昨季、トップ下でプレーした泉は今季、ボランチを任される予定だ。「今年は勝負の年だと思っています。チーム状態は良くなってきています。4年生でも1部で試合がしたいです」と、まずは1部残留を目標に掲げた。3歳年上の兄・柊椰(J1神戸、今季はJ3大宮に育成型期限付き移籍)はドリブラーだが、泉はインターセプトやスルーパスが得意なゲームメーカーだ。「(1部だった)1年生の時は得点、アシストともに少なかった。今季は個人的には10得点10アシストが目標です」と意気込む。昨年、全日本大学サッカー新人戦3位に貢献した泉を中心とした攻撃で突破口を切り開く。

 また、新1年生として昨年度全国高校選手権で準優勝した近江のMF山門立侑、名古屋U―18のDF山田煌人、長崎U―18のMF伊藤小次郎らが加入するのも楽しみ。前期リーグ戦早々からの起用は難しいとしても、後期リーグ戦で戦力に育っていることはありそうだ。

 竹口監督も「昨年、トレーニングの質が向上したおかげでチームの雰囲気は変わりました。課題としては、チームとして攻撃のバリエーションの引き出しを増やしていくことだと思っています」と、リーグ戦に臨む青写真を描いている。

 【DF當麻主将、GK板敷中心のディフェンスが鍵】1部での戦いのカギを握るのはディフェンスだ。22年度の1部リーグ戦での失点は、12大学ワーストの55失点だった。當麻主将は「2年前の反省は、やはり失点が多かったことです。後期リーグは一勝もできなかったですから」と、2部降格を喫したシーズンを振り返る。その同じ轍(てつ)は踏まないようにチームとしてフィジカル強化に乗り出した。週2回、練習の1時間前に筋トレを行い、個人でも自主練習でウエートトレーニングに取り組んだ。

 それでも、半数以上のレギュラーが抜けたチームにあってGKの板敷、DFは當麻を含めた2人が残っているのは心強い。板敷も「DFとの連係はいいと思います。昨年は(1部復帰を見据えて)どれだけ強度を上げて普段の練習でトレーニングしていかないといけないのかを自ら伝えてプレーで示すというのを大事にしてやりました」と、ディフェンス力の底上げを念頭に置いていたという。板敷自身は「ハイボールの対応とビルドアップ、1対1の対応には自信を持っています」と、プロ志望の夢のためにもこの1年間の大切さを胸に刻んでいる。

 當麻主将は、G大阪ユース時代からの先輩である久保勇大前主将のイズムを継承。「ジュニアユースの時からずっと一緒で、大学に入ってからも結構チームの話はしていました。キャプテンになった時は、まあ頑張れよって感じでした。それまでもキャプテンのことも聞いていたので。優しすぎるキャプテンもよくないと思って、時には厳しくしていきます」と話す。

 「僕たちはチャレンジャー。一昨年は2部に降格という本当に悔しい思いをしたんでリベンジしたいと思っています。そして、一つでも上を目指してやっていきたいです」と、今季への意気込みを示した。

 【マネジャーは9人】選手をサポートするマネジャーは9人。高校時代もサッカー部のマネジャー経験がある大谷瑠菜さん(新4年、写真中)は、入学当初はマネジャーから卒業して大学生活を楽しむつもりだった。しかし、新型コロナのまん延で行動が制限されたことで「このままでは何もしないまま学生生活が終わってしまう」と、危機感を感じてサッカー部に飛び込んだ。

 津山陽南さん(新2年、同左)は「関西学生サッカーリーグの1部でマネジャーをしたくて」と、甲南大を志望したが、入学後に2部転落の憂き目にあった。森貞温さん(新3年、同右)は、高校時代はボート部に所属。「部の体験会に出て、決めました」という。

 マネジャーたちは練習のサポート以外にチームの企画、運営、広報活動などの班活動を行う。広報班は、インスタグラムやフェイスブック、X(旧ツイッター)、YouTubeのSNS更新で試合のハイライトなどを伝える。また、選手の士気を高める動画を作成して試合前に見せるという。マネジャーこん身の動画撮影テクニックも一度チェックしてみてはいかがだろうか。

 【1部復帰の原動力、前主将の久保はFCティアモ枚方でプレー】1部復帰に向けてチームを引っ張った久保勇大前主将は、JFL所属のFCティアモ枚方でサッカーを続ける道を選んだ。「大学のリーグ戦が終わってからサッカーを引退するつもりでした。その中で自分の周りにいる大切な人の後押しもありチームを探すことにしました。ティアモからオファーをいただいた時は素直にうれしい気持ちでいっぱいでした。今後はさらに上を目指して一日一日を大切にして真摯(し)にひたむきに、自分のためにも支えてくれた人のためにも頑張りたいと思います」

 また、後輩には「他大学にも全くひけを取らない素晴らしいクオリティーを持った選手が数多く在籍しています。新入生にも全国で活躍した選手が加入すると聞いています。まずは甲南らしいサッカーをしてほしいです!その中でしっかり結果にこだわって関西優勝、全国大会出場と上を目指して頑張ってほしいです!」と、エールを送っている。

 ▼甲南大サッカー部 1951年創部。99年、兵庫県サッカー選手権で初優勝。2019年に関西学生リーグ2部Aブロック優勝を果たし、1部に再昇格。20年は1部で3位となり創部初の全国大会出場を果たした。21年、10位で57年ぶりの1部残留。22年は1部11位で2部に降格も昨季2部1位で1部復帰を決めた。

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