13年目中日・後藤駿太「与えられたところで、しっかり」の姿勢がチームに好影響与える

2023年07月07日 07:45

野球

13年目中日・後藤駿太「与えられたところで、しっかり」の姿勢がチームに好影響与える
5日の巨人戦、9回2死二塁、岡本和の左前打を捕球し本塁に送球する中日・後藤 (撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 チーム今季最長4時間44分の接戦となった5日の巨人戦。反撃及ばず1点差の敗戦を喫した中で、中日ファンを沸かせる好守を見せたのが、後藤駿太外野手(30)だ。
 「(8回の)好機で打てなかったので、守備で何とか失点を防ごうと、必死にプレーした結果だと思います」

 5―5の9回2死二塁。守護神・マルティネスの158キロを捉えた岡本和の打球を処理した左翼手・後藤は素早かった。ワンバウンドで捕球しノーバウンドでバックホーム。本塁突入を試みた巨人・重信を刺した。チームの危機を救い、開幕から続くマルティネスの防御率0・00も守るビッグプレーだった。

 10回1死一塁でも魅せた。中山の左翼ファウルゾーンへの飛球をダイビング好捕。すぐさま立ち上がって内野返球し、一塁走者の二塁タッチアップをけん制。高いレベルで“基本に忠実”な守備で、チームを盛り立てた。

 甘いルックスにオシャレな着こなし。クールな見た目と反対に、後藤はグラウンドで、必死なプレーと態度で示している。カメラに抜かれる頻度はブライト(6月26日に出場選手登録を抹消)の方が多いが、ベンチで必死に声を出してチームを鼓舞し続けている。外野守備に就けば、周囲が守りやすいように的確なポジショニングに務め、堅守を敷く。

 中堅を守る岡林も、「駿太さんは肩が(強い)と、よく言われるけどポジショニングだと思う。僕も考え方が近いので、駿太さんと守る時に(打球を)抜かれることは、ほとんどないと思います」と互いに信頼を寄せる。

 面倒見が良く、周囲を気遣う性格。龍空が悩んでいる様子を感じ取れば、食事に連れ出して話を聞く。偶然、大阪の飲食店で岡林と居合わせた時には、後輩のスマートに支払いを済ませて立ち去る。だから、慕われる。

 故障明けから再昇格した6月21日の楽天戦のこと。6回に守備から途中出場。巡ってきた9回の今季初打席で、楽天・鈴木の初球カーブを中前へ今季初安打を記録した。中日ベンチは沸きに沸いた。ブライトや龍空は、ベンチから身を乗り出して何度もガッツポーズを繰り返した。後輩たちが自分のことのように喜ぶ姿が、後藤の人柄を物語っていた。

 「ベンチで若手からイジられていたんですよね、“打席、回ってきますね”って。だから、“初球からマン振りしてくるわ”って言っていたんです。安打が出てよかったです」

 元オリックスでBC福島・佐藤優悟とフェリペも刺激を受けた。福島から車で2時間かけて楽天モバイルパーク宮城に駆けつけ、スタンドから後藤の勇姿を見届けた。NPB復帰を目指す佐藤には、響く一打だった。「駿太さんは背中で見せてくれるというか、僕らが見に行った試合で、1打席で安打を見せてくれた。自分は、もっと頑張らないとって思わせてくれます」。

 「与えられたところで、しっかりやるだけです」と後藤。13年目を迎えても、常に誠実に取り組むその姿勢は、きっとチームに好影響を与えるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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