市西宮、幸運呼ぶ「ヘッスラ」連発 士気、一体感高まり快勝

2023年07月15日 16:07

野球

市西宮、幸運呼ぶ「ヘッスラ」連発 士気、一体感高まり快勝
泥だらけのユニホームで力投する市西宮・下田(15日、尼崎・ベイコム野球場) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権兵庫大会・3回戦   市西宮6―3神戸高塚 ( 2023年7月15日    尼崎・ベイコム野球場 )】 市西宮5回2死三塁、下田弘太(3年)は2ボール―2ストライクから空振りした後、捕手が後逸(記録は暴投)する間に一塁に疾走した。一塁側ベンチから「ヘッド! ヘッド!」の声が飛んだ。一塁に頭から滑り込んだ。セーフ。振り逃げで1点が記された。
 2回まで4点先取したが1点返された。3回1死満塁、4回1死三塁を逃し、嫌な展開だった。流れを呼び戻す貴重な追加点だった。

 「気持ちが入って自然と頭から突っ込みました。運がいいと言いますか……」と少し照れた。

 ベンチから「ヘッド」のかけ声が飛んだのには理由がある。

 11日の初戦。洲本に0―2とリードされ、9回表2死一塁。下田は3ストライク目を空振りしたが、捕手が後逸。振り逃げで一塁に生きた。この時もヘッドスライディングだった。直後、同点三塁打が出てよみがえり、延長12回の激闘で勝ち上がっていた。ミラクルを呼んだヘッドスライディングだった。

 同僚たちは下田はふだん、闘志を表に出すタイプではないという。それでも頭から突っ込む姿にナインの士気は高まったようだ。

 「気迫あふれるプレーだったと思います」と主将の小野颯真(3年)は話す。「ヘッドスライディングは“頭からいこう”と意識してやるプレーじゃない。練習試合では見られません。自然と出てくることで、それだけチーム力が高まるし、ベンチも盛り上がります」

 この追加点の5回も先頭の岡田万册(3年)が三塁前セーフティーバントで一塁ヘッドスライディングして出塁(内野安打)。下田のヘッドスライディングで生還。7回の追加点も田中至(3年)の遊ゴロ併殺逃れの一塁ヘッドスライディングだった。

 下田は「ユニホームを汚すのが好きじゃない」と言うが、この日もドロドロだった。背番号「6」の遊撃手兼投手。この日は昨年夏以来、1年ぶりの公式戦先発マウンドだった。6回1失点で試合をつくった。

 汚れたユニホームでマウンドに立つ姿は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での大谷翔平のようだとナインから冷やかされた。

 ヒーローはもう1人、背番号「7」で好救援を見せた飯田翔太(3年)がいる。7回2死満塁で登板し、最少失点でピンチ脱出。8、9回を締めくくった。

 5番・左翼手で出場した初戦は両足がけいれんして途中交代。この日は先発メンバーから外れた。登板時、捕手の小野から「ここで抑えるためにベンチスタートだったんだぞ」と励まされた。「大ピンチという緊張もなく、投げられた」という強心臓の持ち主は「三振を狙うではなく、打たせていった。味方の好守に助けられました」と謙虚に振り返った。

 吉田俊介監督は「継投は当初の予定通り」と話した。3投手継投で初戦に登板した「1」の赤井翔太(3年)、「11」の南光悟(2年)を使わず、休ませられた。

 「野球の好きな子の集まり。早朝から集まって自主的に練習している。いいムードで戦えています」。楽しそうな選手たちを頼もしそうに見つめていた。 (内田 雅也)

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