【虎番リポート】島本 勝負どころで生きるプロ13年の“年輪”

2023年08月15日 05:15

野球

【虎番リポート】島本 勝負どころで生きるプロ13年の“年輪”
阪神・島本
 【虎番リポート】「阪神」「救援」「度胸」…いま、この3ワードを頭の中で検索すれば、この投手の名前がヒットする人は少なくないはずだ。
 島本浩也の“火消し”ぶりがすさまじい。ピンチで送り込まれると、左打者にも臆することなく内角勝負を挑み背負った走者をくぎ付けにする。象徴的だったのは6日のDeNA戦の1点優勢の7回。浜地のミスなども絡んで1死二、三塁とされて登板し、代打・楠本を遊飛、関根は外角への146キロ直球で空振り三振に斬った。2日前の4日も本塁打を浴びれば逆転される8回2死満塁で救援し、佐野をフォークで空振り三振。間違いなく10連勝の立役者の1人で、果たした仕事の大きさ、チームへの貢献は岡田監督の発した「島本さまさまよ」にすべて凝縮されている。

 横浜での熱投を終えた後、シンプルに聞いた。「その度胸はどこから来てるの?」。島本は首をかしげて笑った。「度胸…あるんですかね。僕は投げてる時より甲子園のヒーローインタビューの方が緊張する」。ならばと、6日のマウンドに上がった直後の心境をたずねると「一瞬だけ“うわ”ってなりますけど、それも本当に一瞬。周りが見えてますし、冷静でしたね」と振り返った。

 「度胸」という表現は抽象的過ぎる。パフォーマンスを支えているのは失敗も経て増やしてきた「引き出し」の多さ。プロ13年で醸成された“年輪”が、勝負どころで生きている。

 「今まで失敗しまくってきたことが、生きてます。昔はそんな制球ないのに全部“ビタビタ”に投げようとして苦しくなってストライク取りにいって打たれたり。今は“ここはボールでいいんだ”とか“しちゃいけないこと”を考えてます」

 変化球はスライダー、フォークの2球種。9日の巨人戦の8回1死で吉川の初球に投じたのは“弱スラ”だ。「1球目は振ってこないだろうと。弱いスライダーを投げた」。事前に岩崎らに「どう思いますか」と意見も聞いて実践した。「フォークならシンカー気味に投げたり、インコースいったり」。表面的な持ち球以上の幅の広さで打者を惑わす。

 最後に力を込めて言った。「元々、僕は気が弱いタイプじゃない。気持ちが乗ってる球と乗ってない球は違う」。数値化できない“強み”もやはり、球威やキレ味に上乗せされている。
(遠藤 礼)

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