横浜・杉山 球速&完成度UPの147キロ左腕 慶応に敗れ甲子園ならず「この悔しさをバネに…」

2023年08月29日 06:30

野球

横浜・杉山 球速&完成度UPの147キロ左腕 慶応に敗れ甲子園ならず「この悔しさをバネに…」
横浜の杉山
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第30回は横浜(神奈川)の最速147キロ左腕・杉山遥希(3年)。関東を代表する左腕は、神奈川大会決勝で今夏の甲子園を制した慶応に敗れ高校野球を終えた。
 ポーカーフェースを貫いてきた杉山が、涙で夏を終えた。7月。3年連続の夏の甲子園出場が懸かった慶応との神奈川大会決勝。杉山は2点リードで迎えた9回、渡辺千之亮(3年)に逆転3ランを被弾。微妙な判定で広がったピンチで自信のチェンジアップが高めに浮いた。慶応打線のフルスイングにも、夏の暑さにも負けずに腕を振ってきた男が許した、たった一球の失投だった。

 「甲子園に出たいっていう思いだけで横浜に入ってきた。自分に力が足りなかった。本当に悔しかった」

 最後の夏に甲子園出場はならず。それでもスケールを増した投球で高校野球ファンに「神奈川に杉山あり」と強烈な印象を刻んだ。1年夏からエース番号を背負い、甲子園を経験。コーナーを突く制球力、ブレーキの利いたチェンジアップに定評があり、先発投手として試合をつくる能力にたけていた。

 2年時までは直球が130キロ台前半から中盤と物足りなさがあったが、プロ入りが懸かる3年となった今年に入り球威が急上昇。「中指で切る」という独特の感覚で投じられる直球は、春には145キロをマークし、夏の神奈川大会ではプロも使用する横浜スタジアムで最速を147キロに伸ばした。完成度の高さに力強さが加わった。

 決勝敗戦後、さまざまな感情が渦巻く中、杉山は「今後も野球は続けるので、この悔しさをバネにして頑張りたい」と前を向いた。プロ志望届を提出し、ドラフト指名となれば将来的に先発投手としての活躍を期待したい。直球と同じ腕の振りから繰り出すチェンジアップは、打者から止まったように見えるほどブレーキが利いている。その宝刀を生かすため、プロでは体をつくり、直球のさらなる平均球速アップを目指したい。(柳内 遼平)

☆球歴 篠崎アトムズに所属した小6時にジャイアンツジュニアに選出。中学は城南ボーイズでプレーし、横浜では1年春からベンチ入りし、1年夏、2年夏の甲子園に背番号1で出場。憧れの選手は楽天・松井裕。

 ≪大阪桐蔭・前田、ドラ1最右翼≫今年のドラフト戦線で高校生No.1左腕は、大阪桐蔭・前田悠伍だ。今夏は登板も少なくアピールできなかったが、申し分ない能力と実績がありドラフト1位指名の可能性が高い。山形中央の二刀流左腕・武田陸玖は、140キロ台前半の直球とスライダーを武器にするが、プロ球団のスカウトは打者としての能力を評価する声もある。仙台育英(宮城)の151キロ左腕・仁田陽翔は、今夏の甲子園で登板機会に恵まれず。今後は大学進学も視野に入れ進路を決める。

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