×

楽天・今江監督“ボビー流”でファンサービス充実 今季観客動員数最下位から“下克上”へ演出会議参加直訴

2023年10月18日 05:30

野球

楽天・今江監督“ボビー流”でファンサービス充実 今季観客動員数最下位から“下克上”へ演出会議参加直訴
会見を終えポーズをとる楽天・今江新監督(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 楽天は17日、新監督に今江敏晃打撃コーチ(40)が就任すると発表した。2年契約、年俸4000万円で背番号98。楽天モバイルパークで会見した新指揮官は恩師である元ロッテ監督のボビー・バレンタイン氏(73)のように積極的なファンサービスを約束し、球団の企画会議への参加も希望した。ロッテ時代の05、10年の日本シリーズでMVPに輝いた「下克上の申し子」が、2年連続4位から13年以来の「下克上V」を狙う。
 数々の大舞台を経験してきた今江新監督でも、就任会見では頭が真っ白になった。「コーチをさせていただく中で、監督もやってみたいという気持ちもありましたし…。すみません…。アハハ…」。極度の緊張から、冒頭では言葉が出てこず苦笑いを浮かべたが、頭の中では明確なビジョンを描いていた。

 「ボビーは恩師。“チームはファミリー”と言って家族のように接してくれた」

 現役時代に最も影響を受けたのが、ロッテ時代のバレンタイン監督だった。05年、高卒4年目だった今江監督を正三塁手に抜てき。中心選手に育ててくれた。「ボビー・マジック」と称された選手起用や戦術はもちろん、プロとしてファンサービスの重要性も学んだ。

 「本当にファンサービスが凄かった。勝つことが第一だけど、ファンの人はいろんなことを楽しみに球場に来てくれる。演出って凄く大事だと思う」

 就任早々に打ち出したのが“ボビー流”の改革だった。森井誠之球団社長に「僕も球場演出の会議に入れてください」と異例の直訴。現場のトップとして全面協力を約束した。

 前夜、CSファーストS第3戦をテレビ観戦した。本拠地の大声援に後押しされたロッテがソフトバンクに逆転サヨナラ勝ち。「あの球場の雰囲気をつくったのは、ボビーがやってきたからこそ」。翻って、今季の楽天の観客動員数は12球団ワースト。「大声援の中で野球をやれることは本当に幸せなこと。選手は負担はかかるかもしれないけど、応援してくれる人が増えれば選手に自覚が出てくる」とファンサービスの重要性を強調した。

 チームの再建は05、10年の日本シリーズでMVPを獲得した「下克上の申し子」に託された。「宿命、ご縁を感じる。やるからには頂点を狙う。東北の皆さん、ファミリーとなって一緒に戦っていきましょう」。40歳の若き指揮官の呼びかけは力強かった。(重光 晋太郎)

 ◇今江 敏晃(いまえ・としあき)1983年(昭58)8月26日生まれ、京都府出身の40歳。PL学園では2年夏に甲子園出場。01年ドラフト3巡目でロッテに入団し、05、10年の日本シリーズでいずれもMVPを獲得。06年の第1回WBCでは日本の初優勝に貢献した。15年オフに海外FA権を行使して楽天に移籍し通算成績は1682安打で打率.283、108本塁打、726打点。19年限りで現役を引退し、2軍で打撃コーチなどを歴任。

 ▽バレンタイン監督の「ボビー流ファンサ」 2度目となった04年は就任当初から「充実したファンサービス」を掲げ、自ら先導役を担当。05年にはベンチ入り選手数が25人であることから「背番号26」をファンの番号に設定。同年からは新入団選手発表もファンに公開し始めた。他にも試合後のスタンドでダンスをしたり、即席のサイン会、曜日別にテーマを変えたサービスイベントも開催。ロッテリアの店員を務めたことも。07年の開幕直前には選手全員が出席し、ファン約8000人が参加した決起集会も行われた。

 ≪発表前日フライングで「おめでとう」≫これもボビー流サービス!?バレンタイン氏は、愛弟子である今江新監督の就任を正式発表前に「フライング」で祝福していた。前日に自身のSNSで「今江敏晃選手、楽天ゴールデンイーグルスの監督就任おめでとうございます」と書き込んだ。

 ≪秋季練習で訓示「全力でサポート」≫秋季練習初日の円陣で今江新監督は「選手もスタッフも一つになって戦って、その中で勝っていく。コミュニケーションをしっかりとってグラウンドで最大限力を出せるよう全力でサポートします」と訓示した。この日、内野守備走塁兼打撃コーチ補佐からの昇格が発表された渡辺ヘッドとともに育成に主眼を置いており「若手が出てきてくれないとダメ」と強調。主将の浅村は「選手に寄り添って助けてもらった。楽しみだし、しっかりついていきたい」と力を込めた。

 ≪現役3人目のPL学園出身監督≫PL学園のOBでは中日・立浪監督、西武・松井監督に次いで、今江新監督は3人目となる現役の1軍監督となった。「たくさんの先輩がいる中で、3人目になれたことは本当に名誉なことだしうれしい」。春夏の甲子園大会で通算7度の優勝を誇る名門は、16年夏を最後に休部。今年度から1年生部員1人が入部して復活へと動き出している。「若い人はPL学園野球部を知らないと思う。復活に少しでも近づけば」と思いを口にした。

 ▼西武・平石ヘッド兼打撃戦略コーチ(PL学園の3学年先輩で、楽天では監督と選手などの関係)敵なので負けたくないし、つぶしにいかないといけないが、一人の野球人としては本当に頑張ってほしい。

おすすめテーマ

2023年10月18日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム