ドラフト会議直前【逸材ファイル】富山の大谷 最速159キロ救援右腕は「第2の阪神・湯浅」

2023年10月25日 06:30

野球

ドラフト会議直前【逸材ファイル】富山の大谷 最速159キロ救援右腕は「第2の阪神・湯浅」
富山・大谷輝龍 Photo By スポニチ
 「大谷が159キロを投げた」。米大リーグの話ではない。2チームのみで構成されている独立リーグの日本海リーグ・富山に所属する大谷輝龍(ひかる)の話だ。
 「今年の目標が155キロだったので、ここまで球速が出るとは思っていなかったです」

 今年に入ってドラフト戦線に急浮上した23歳の救援右腕だ。小松大谷(石川)を卒業後、計3チームを渡り歩いた苦労人でもある。

 高卒でJFE東日本に入社してから苦難の連続だった。「一気にレベルが上がって萎縮し、フォームが分からなくなりました」。高校で147キロを計測した直球が140キロ台前半まで落ちた。入社2年で戦力外を告げられた。「まさかクビになるとは…。頭が真っ白になった」。その後、伏木海陸運送で昨年まで2年間過ごすも、不安定な制球を改善できずに出番は限られた。

 「独立リーグなら試合数が多い。登板数も増えると思いました」

 この一大決心で人生が変わった。オフ期間に「自分に合ったバランスが見つかった」との手応えはあった。その感覚を頼りに、富山を指揮する元近鉄の吉岡雄二監督や元阪神・西村憲投手コーチとともに投球フォームを磨いた。1年目の今季は14試合に登板。「制球が良くなり、思い切り腕を振れるようになった」。あれよあれよと球速が上がり、9月に159キロを計測した。入団から1年足らずで自己最速を8キロ更新。13回1/3を投げ20奪三振を誇り、毎試合のようにスカウトが球場に訪れるようになった。

 富山は今春WBCで世界一に輝いた阪神・湯浅の出身チームでもある。球団内では「直球は湯浅より上」との声もあるほどだ。一度はクビを告げられても夢を諦めなかった「第2の湯浅」は、今年のアマチュア球界最速投手として指名を待つ。(河合 洋介)
=終わり=

 ◇大谷 輝龍(おおたに・ひかる)2000年(平12)7月11日生まれ、石川県小松市出身の23歳。小学1年から月津ケ丘少年野球クラブで野球を始めて外野手。小松市立南部中学では軟式野球部に所属。小松大谷(石川)では1年秋に背番号8でベンチ入りし、2年秋から背番号1。JFE東日本、伏木海陸運送を経て今季から独立の日本海・富山に入団。50メートル走6秒0、遠投120メートル。1メートル80、81キロ。右投げ右打ち。

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