大阪桐蔭・前田を1位指名しなくていいの?担当記者が見た「3つの視点」 一本釣りなら「満点ドラフト」

2023年10月25日 07:15

野球

大阪桐蔭・前田を1位指名しなくていいの?担当記者が見た「3つの視点」 一本釣りなら「満点ドラフト」
大阪桐蔭・前田悠伍 Photo By スポニチ
 26日のドラフト会議が迫り、各球団は指名候補の最終的な絞り込みと当日のシミュレーションを行っている。即戦力がそろう大学生投手に1位指名が集中するのは間違いない。その結果、起こり得るのが高校生の一本釣りである。世代最強と評される大阪桐蔭(大阪)の最速148キロ左腕・前田悠伍(3年)を競合せずに指名できる可能性すらあるのだ。記者は、前田の1位指名を猛プッシュしたい。その理由を今一度、監督、専門家、ライバルの3つの視点から説明する。
 (1)名将が認めた総合力

 慎重に言葉を選ぶ印象のある大阪桐蔭・西谷浩一監督も、前田のことはよく褒めた。

 「(前田の良さは)総合力が高いことだと思います。フィールディング、けん制、打者との駆け引き、メンタル、直球、変化球。総合的な力が長けている子です」

 例えば、けん制の巧みさは、プロの走塁のスペシャリストも惑わすことができそうなほどに優れている。昨秋の近畿大会決勝で完封負けを喫した報徳学園(兵庫)の大角健二監督は、「(秋季大会では)大阪桐蔭戦だけ盗塁ができなかった。それならば犠打で走者を進めようとするが、一塁走者がけん制で逆をつかれて戻っているから簡単に二塁で刺される。何もできなかった」と完敗を認めたほどだ。

 (2)専門家が認めたチェンジアップ

 前田は持ち球の中でチェンジアップに最も自信を持つ。直球の軌道から落ちるため、空振りを奪える勝負球として使用する。

 NPBのデータ解析も行い、大阪桐蔭での投球練習を測定分析機器ラプソードで測定したこともあるネクストベース社の森本崚太氏は「チェンジアップは、いまプロに入ったとしても特徴的な球になる。特に右打者に対して逃げるように大きく曲がるユニークな球だ。直球に対してのチェンジアップの球速のバランス感もいい。球速帯、変化量など文句のつけようがない」と証言。この落ち球は強打者がそろったU18W杯でも有効で、世界一に導く勝負球となった。

 (3)ライバルが認めた制球力

 今年4月に行われた高校日本代表候補の強化合宿に参加した選手は、口をそろえて前田の制球力に言及した。

 ▼常葉大菊川(静岡)・鈴木叶「前田君は制球も変化球の精度も完璧だった。どこに投げても打たれない気がしました」

 ▼仙台育成(宮城)・高橋煌稀「制球で一番印象に残っているのは前田です」

 ▼山形中央(山形)・武田陸玖「1番印象に残ったのは前田選手です。制球もいいし、変化球の精度も高かったです」

 敵も味方も関係なく、多くの選手や指導者が前田の投球に惚れ込んできた。この逸材を一本釣りできるようなことがあれば、それだけでその球団の今年のドラフト戦略は満点に近づくと言っていい。それぐらいに前田を1位指名に推す。(記者コラム・河合 洋介)

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