鳥越裕介氏 次は小久保監督が4番を育てる番だ

2023年11月14日 06:00

野球

鳥越裕介氏 次は小久保監督が4番を育てる番だ
ソフトバンク・小久保監督 Photo By スポニチ
 【鳥越裕介のかぼす論】小久保裕紀新監督の就任に際し、2000年高知春季キャンプで同学年の田之上慶三郎、大越基と「小久保って将来、監督になるよね」という話をしたのを思い出している。あれから20年以上が過ぎた。キャンプ地も球団名も変わった。周りが、そして彼自身が思ったより時間はかかったのかなと思う。
 私は37歳の時に「監督」になった。ソフトバンクの2軍監督。その時、まだ現役だった小久保から「監督と呼ばれる人は12球団で24人しかいないんだよね」と言われたことが、印象に残っている。今でこそ3、4軍制を取り入れる球団はあるが、基本的に24分の1。そんな言葉がすぐ、出てくるのは恐らく、この世界に入った時からそのことを意識してやってきたのだろう。

 「24分の1」を経験した2年間は大きいんじゃないかと思う。彼はエリートとして歩んできた。入団した当時から2軍のレベル、気持ちなどを理解する機会はほとんどなかったはずだ。ケガをしたことはあるが、治れば1軍。普通の選手は1軍のレベルになれるかどうかを悩む。ただ、彼は一流になるかどうか、ホームランを30、40本打つかどうかで悩んだ。今までは高いところからしか、見ていない。1軍の舞台には全員は上がれない。だから彼が下りてこなければ、同じ目線にはなれない。一度、下りてみるのは大切なこと。この2年間、2軍監督として4軍まである筑後でそこを見られたのは、大きいかと思う。

 監督は一人じゃできないが、アメリカで勉強した青学大の後輩の倉野信次が戻ったことは良かったんじゃないか。また唯一の同学年である井出竜也コーチのサポートも期待したい。現役時代、一緒に戦った選手が主力でいる。彼らは恩返しできるチャンスでもある。チームが同じ目標に向かってやれば、また違うホークスが見られるんじゃないだろうか。

 小久保監督は記者会見で「王イズム」の継承を誓っていた。99年に中日からダイエーへ移籍した私は、弱い時代を知らない。その時代も知っているのは彼の財産だと思う。あの時のあの時間、王貞治監督という偉大な人物と時をともにした。王監督から4番に指名された男が、時を経てまた「監督」という名の4番に指名された。

 すべきことは分かっているはずだ。次はあなたが、4番を育てる番だ。

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