5億ドルにこだわらず、勝つことが最優先なら、ブレーブスは世界一に最も近い選択肢
2023年11月14日 16:10
野球
あと2年待てば2億ドルから3億ドルと噂された巨額の契約を手に入れられたのに、メジャー最低年俸を受け入れることにしたし、その際、国際移籍選手に与えられるボーナスでもレンジャーズ、マリナーズの方がたくさんお金を用意できたのに、230万ドルと3番目のエンゼルスを選んだ。だから今回も大谷がお金だけで決めるとは思えない。
そして彼が以前発言したように「勝ちたい」という希望の方が重要であれば、今までの報道とは違う、行先の絞り込み方ができると思う。モロシ記者は「ブレーブスのこのオフの最優先事項は先発投手の補強で、彼らが大谷と契約するとは思わない」としていたが、むしろブレーブスは最も可能性の高いチームだと思う。
ブレーブスは23年はチームOPS(出塁率+長打率)・845と最強の打線を誇った。しかも25歳のロナルド・アクーニャを筆頭に、22歳のマイケル・ハリス、26歳のオースティン・ライリー、オジー・アルビーズとレギュラーが総じて若い。他の3人のレギュラーも大谷と同い年の29歳、マット・オルソン、ショーン・マーフィー、オルランド・アルシアである。DHのレギュラーは33歳のマルセル・オズナ。23年は打率・274、40本塁打、百打点と活躍した。130試合以上に先発した数少ない実力派の指名打者で、24年は年俸1800万ドル、25年はチームに選択権があり、年俸1600万ドルだ。実力の割に金額は安いから、トレードに出せば欲しいというチームは少なからずあるだろう。
ブレーブス打線はOPSだけでなく、本塁打数、打率でもトップ。ここに大谷が加われば、24年も引き続き最強の打線であり続ける。周囲は強打者揃いだから、大谷がエンゼルス時代のように四球禍に悩まされることもない。そして若い元気な野手揃いだから、DHのスポットをローテーションで使い回さなくても良い。大谷は他のベテランに気兼ねせず、DHでフル出場を続けられる。
問題は23年の防御率が4・36と全体17位の先発投手陣だ。ポストシーズンはその差でフィリーズに敗れた。そこでそのフィリーズからFAになったアーロン・ノラに興味があると報じられている。あるいはブルワーズからトレードされるであろう先発投手コービン・バーンズの獲得に動くという。そのための資金を確保するため、左翼手エディ・ロサリオのオプションを行使しなかった。
年俸9百万ドルは安い方だが、22歳の若手ボーン・グリッソムを抜擢すればもっと安くて済む。一人強力な先発投手を補強できれば、23年にナ・リーグの最多勝&三振奪取王に輝いたスペンサー・ストライダー(25)、オールスター選出のブライス・エルダー(24)がいるし、元エース左腕のマックス・フリード(29)も来季はフルシーズン投げられる。ひじの手術を受けたイアン・アンダーソンも来季シーズン中に戻ってくる。14勝、防御率3・64のベテラン、チャーリー・モートン(39)との1年2千万ドルのオプションも行使した。若手有望株たちもいるし、決して弱い先発投手陣ではない。
ブルペンもオフになってから、ジョー・ヒメネスと3年総額2600万ドル、ピアス・ジョンソンと2年総額1425万ドルで合意している。21年の世界一のあと、22年、23年と連続で百勝以上を挙げたブレーブスは、24年も間違いなく世界一に最も近いチームなのである。ブレーブスが賢明なのは若い有能な野手たちの市場価値が跳ね上がる前に、長期契約を結んでしまっていること。
スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のデビッド・オブライエン記者が指摘しているが、ゆえに選手の中で年俸2200万ドルを超える者が一人もいない。オルソン、ライリー、ストライダーは最高でも2200万ドルだし、あのアクーニャでも1700万ドルが最高額だ。ハリスが1200万ドル、アルビーズは7百万ドルである。不良債権化する契約はほぼないと言って良い。加えて収益性の高い現在のトゥルーイストパークに移ってから、球団の収益は著しく増えた。
24年シーズンの予想サラリー総額は2億701万ドルと高額。モロシ記者が、「ブレーブスが大谷と契約するとは思わない」というのはお金が根拠だと思うが、ゴンザレス記者が報じたように短期契約でも良いというなら話は変ってくるだろう。
24年、ブレーブスで1番アクーニャ、2番大谷、3番ライリー、4番オルソンの打順を組む。十分可能性のある話だ。今勝ちたいということなら、本命視されてきたドジャースだけでなく、23年に101勝のオリオールズ、99勝のレイズも加わってくると思うが、戦力を総合的に判断すると、ブレーブスが世界一に最も近い選択肢だと思う。(奥田秀樹通信員)
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