も、もり、もりあ、盛り上がりが足りない!スポーツ応援に必要なのは「声」だった

2023年11月29日 15:10

野球

も、もり、もりあ、盛り上がりが足りない!スポーツ応援に必要なのは「声」だった
<仙台育英・慶応>優勝を決め喜ぶ慶応ナイン(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】
 「も!」「もり!」「もりあ!」「もりあがりがたりない!」

 今年の夏、日本全国のスポーツ会場を席巻した応援コールだ。在校生や控え部員、OBたちが声を合わせて叫ぶのを一度は聞いたと思う。

 高校野球の甲子園大会でも多くの学校が採用した。野球ではなく、明秀日立高サッカー部の応援が発祥といわれ、SNSで全国に広がっていった。

 仕掛け人がいるわけではない。損や得では動かない高校生たちの湧き溢れるエネルギーを感じる素晴らしい応援スタイルだと思う。

 2023年のスポーツ界は「声」の力に鼓舞され、「声」に心を揺さぶられた。

 夏の甲子園では慶応高の応援で大合唱される「若き血」に圧倒された。

 野球部どころか慶応高OBでもない立派な大人まで意気揚々と歌う姿を見せられ、ちょっと気恥ずかしさも感じたが、グラウンドの球児とスタンドの伝統応援がつくり出した「祝祭空間」は、世界中のスポーツ大会の中でも屈指の輝きを放ち、107年ぶりの優勝に付加価値を加えた。

 「声」は阪神の18年ぶり6度目のリーグ優勝の瞬間を迎えたときも甲子園に響き渡った。

 優勝を決める試合。岩崎優投手(32)が9回のマウンドに向かうとき、ゆずの「栄光の架橋」が流れ出した。

 2カ月前に闘病の末に逝去した岩崎の同期・横田慎太郎さんの登場曲だった。

 自然発生で超満員のスタンドで大合唱が起こった。

 まるで、グラウンドにいる横田さんを応援するように阪神ファンは歌い続けた。

 ほぼ3年間、1000日以上、新型コロナウイルスの感染防止という理由で我々は「声」を封印されてきた。

 「盛り上がりが足りない!」は抑圧され続けた高校生の感情の爆発のようだった。

 「若き血」で伝統として継承されてきた熱に圧倒された。

 そして「栄光の架け橋」。声=歌は不思議なもので、その感動の一瞬を何度でも再生する装置となってくれる。

 今年の野球界、大谷翔平や山本由伸、村上頌樹などそれぞれのMVPがいるだろう。

 野球以外のスポーツでも同じだ。この冬も多くのスターが誕生するだろう。

 主役は選手だ。それは間違いない。ただ、その主役の背中を押し、肩を叩いて励まし。ときには一緒に泣いてくれる。戻って来た「声」こそスポーツ界の名脇役だと思い知らされる一年になった。

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