かつての巨人ドラフト1位 自身3度目の育成契約でソフトB入団 新天地で「親孝行」を

2023年11月29日 16:49

野球

かつての巨人ドラフト1位 自身3度目の育成契約でソフトB入団 新天地で「親孝行」を
<ソフトバンク鍬原入団会見>ソフトバンクの帽子を被りポーズする鍬原(撮影・岡田 丈靖) Photo By スポニチ
 かつてのドラフト1位右腕にとって、これが実に3度目の育成契約となる。
 今季限りで巨人を戦力外となった鍬原拓也投手(27)が、ソフトバンクに育成選手として入団することが決まった。

 17年ドラフト1位で中大から巨人に入団。昨季までの在籍6年間で80試合に登板して5勝5敗0セーブ、防御率5・80の成績を残したが、そんな数字以上に紆余(うよ)曲折のあった、苦難に満ちた6年間だった。

 入団1年目の18年。3度目の先発となった6月14日のソフトバンク戦でプロ初勝利。中大の先輩で今季から巨人監督に就任した阿部慎之助が援護のソロアーチを放ち、同じく先輩の沢村拓一(現ロッテ)も好救援で白星をサポートしてくれた。幸先のいいプロ人生のスタートを切ったはずだった。

 しかし、その後は故障にも泣く。20年8月には右肘を骨折。オフに育成選手として再契約を結んだ。

 球団の期待と、結果を出せないもどかしさ。21年8月に支配下に復帰するも、同年オフに再び育成選手に。22年3月に再び支配下選手となり、同年は自己最多の49試合に登板。しかし今季は5試合の登板に終わり、オフに戦力外通告。今回のソフトバンクとは自身3度目となる育成選手としての契約だ。

 3歳の時に両親が離婚。経済的に生活は苦しく、中学時代の3年間は同じグラブをボロボロになるまで使い続けた。毎月の小遣いはなく、新しい服は年に1度だけ。女手一つで育ててくれた母・佐代子さんは自分の服は買わず、息子の「お下がり」のTシャツを着続けるなどしたという。

 鍬原は中大時代、グラブに「親孝行」との刺繍を入れていた。巨人にドラフト1位指名された際には「母にマンションを買ってあげたい」と話していた右腕。背番号は入団時の29から46、巨人育成時の029を経て、来季からは「174」となる。

 27歳。まだ野球人生は終わっていない。ユニホームを着て活躍している姿を見せる。それこそが何よりの親孝行となる。 

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