全米を巻き込む“狂騒曲”では大谷翔平の心を掴めない「おもさげながんす」の精神が理解できなければ…

2023年12月09日 13:25

野球

全米を巻き込む“狂騒曲”では大谷翔平の心を掴めない「おもさげながんす」の精神が理解できなければ…
大谷翔平 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】エンゼルスをFAになった大谷翔平投手(29)をめぐって全米が大騒動となっている。
 MLBのウインターミーティングを扱うテレビ、ネットは大谷の話題が中心。「今週中にも決着」「FA史上最大の契約をクリスマスに発表」と煽りに煽っている。

 日本時間9日未明には大谷が移籍有力候補であるブルージェイズの本拠地トロント行きのプライベートジェット機に乗ったという誤情報がX(旧ツイッター)に投稿された。本当の搭乗者がSNSで「私はショウヘイ・オオタニではない」と合成画像をユーモアで投稿。笑い話となったが、誤情報を流した記者は謝罪する事態となった。

 この大騒動の中で一人置いてけぼりにされている人物はいないか?

 大谷本人だ。

 おそらく2度のア・リーグMVPに輝いた若者は、この大音量で流れ続ける狂騒曲に耳を塞いでいることだろう。

 心境は「おもさげながんす」だろう。

 浅田次郎の作品「壬生義士伝」の中で、南部藩(現在の岩手県)出身の主人公・吉村貫一郎が口癖のように使う“お国言葉”だ。

 意味は「申し訳ありません」だが、謝罪と感謝の中間くらいのニュアンスだろうか。

 岩手出身の大谷が人生で一度でもこの言葉を使ったことがあるかは分からないが、その土地の空気を作る「言霊」というものがある。大谷は「おもさげながんす」という言葉がつくった空気感の中で生まれ育ったのだ。

 大谷が巨額契約を自慢したり、野球のプレー以外で自身の存在を誇示するような人物ではないことは我々はよく知っている。

 FA交渉をショーアップしない大谷のやり方に対して、米メディアは「このオフ最大の注目人物である大谷が表舞台に出てこないのはおかしい」「スターとして自身の去就に関してプロセスを報告すべき」「ファンは大谷の一挙手一投足に夢を託している」と批判してきた。

 大谷にしてみれば「おもさげながんす」の一言だろう。

 二刀流にとって900億円に及ぶような巨額契約で注目されることなど「おもさげながんす」でしかない。

 何かと自身の成功を誇示し、SNSで注目を浴びたがる時代だ。自らひけらかすことをしない大谷を同じ日本人として誇らしく思う。(専門委員) 

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