広島・中村奨“まだ野球がしたいです”志願の護摩行参加へ 直電受けた会沢が男気サポート約束

2023年12月26日 05:45

野球

広島・中村奨“まだ野球がしたいです”志願の護摩行参加へ 直電受けた会沢が男気サポート約束
広島・中村奨 Photo By スポニチ
 広島・会沢翼捕手(35)が出直しを誓う若ゴイに救いの手を差し伸べた。1月初旬に鹿児島・最福寺で実施する護摩行に、直電で参加志願した中村奨成捕手(24)を帯同する。所用でマツダスタジアムを訪れた25日、「“まだ野球がしたいです”と言っていた。背中を押してあげたい」と話し、男気サポートで覚悟に応える意思を示した。
 ベテランは、その声に覚悟を感じ取っていた。12月初旬にかかってきた中村奨からの電話。最福寺で年明けに実施する護摩行への参加直訴で、17年から7年連続で荒行を共にする堂林と話し合って申し出を受け入れた。

 「“まだ野球がしたいです”と言っていたから、背中だけは押してあげよう…と。僕に電話するのは、相当な覚悟がいったと思う」

 労組プロ野球選手会の会長として2期目に入り、待遇改善や諸問題の解決に尽力する35歳。公では関知しない案件ながら、チームの先輩として私的なことで週刊誌をにぎわせた後輩を案じており、あえて苦行に挑もうとする気持ちに応えた。

 「野球以外で世間をにぎわせ、難しいことが多々あったと思う。人間は弱い。逃げるのは簡単だけど、ツラい方にいくのは勇気がいる。覚悟を持って(護摩行を)やるということ自体、一歩前に進んでいるのかなと思う」

 中村奨は、地元・広陵高から17年ドラフト1位で入団。2軍で抜きんでた打力を誇示しても、1軍では伸び悩んでおり、来季は背番号「22」が「96」に変わる。いわば背水の陣で臨むシーズン。会沢は、そこで重要なのは気持ちと強調する。

 「技術はもちろん大事。護摩行をやって、野球がうまくなるわけじゃない。僕自身がそうだったけど、どうやって殻を打破するか。苦しい時に自分の気持ちをどう前向きにさせるか。気持ちが大事。気持ちで変わる」

 1月初旬に3日間予定する過酷な行には、堂林の他に末包が新たに参加する。燃え盛る火柱の前で熱さに耐えながら、不動真言を唱え続けるそれは「テレビ映像で見るより数百億倍きつい」。それを何年も続け「つらいことに向き合うことが大事」と力を込める。

 「護摩行をやって、どういう方向にいくか…は本人次第。僕らは尻を叩いて手助けすることしかできない。かわいい後輩だし、頑張ってほしいと思う」

 男気サポート。どん底から殻を破ってはい上がろうとする後輩を、会沢は厳しくも温かい目で見守る。(江尾 卓也)

 《護摩行とは》護摩行は密教最高の修行法で、インド伝来。燃え上がる炎の前で全身全霊を込めて不動真言を唱えることにより、すべての煩悩を焼却するとともに息災を祈願する。通常2時間、長いものでは8時間に及ぶ。烏帽子(えぼし)山最福寺は鹿児島市南部に位置する真言宗の寺で、室町時代から真言密教の正統を受け継ぐ。広島の選手では99年に金本知憲が清原和博(当時巨人)に誘われて敢行し、03年の阪神移籍後も続けた。これに続く形で04年から新井貴浩(現広島監督)、08年から石原慶幸、20年から小窪哲也らが修行。現役では17年以降に会沢、堂林らが行っており、19日には末包も2人に同行して来年1月に初めて臨むことを明らかにした。

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