ミュージカル「ピーター・パン」が開幕 今年も親子で楽しめる仕掛けが満載!

2024年07月26日 17:00

芸能

ミュージカル「ピーター・パン」が開幕 今年も親子で楽しめる仕掛けが満載!
ピーター・パンを演じる山崎玲奈(撮影:宮川舞子、提供:ホリプロ) Photo By 提供写真
 ブロードウェイミュージカル「ピーター・パン」が24日、東京国際フォーラムで初日を迎えた。初演から今年で44年目となる伝統の舞台。ピーター・パン役は初代の榊原郁恵(65)をはじめ、現在俳優として活躍中の高畑充希(32)、吉柳咲良(20)らも演じており、若手俳優の“登竜門”とも言える位置づけとなっている。
 昨年に続き、11代目ピーター・パンを演じるのは山崎玲奈(17)。第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ミュージカル次世代スターオーディション」でグランプリを獲得した注目の女優だ。今年も、17歳とは思えない歌唱力と表現力豊かな堂々とした演技で大役を務めている。

 演出面でも見どころはたっぷり。ある夜、ロンドンで暮らすウェンディ、ジョン、マイケルの3人の子供のもとにピーター・パンと妖精のティンカーベルがやってくる。人間とは明らかにサイズの違うティンカーベルは同じシルエットの光を舞台に当てることで表現。山崎演じるピーターもまるで本物のティンカーベルがそこいるかのように語りかけたり、追いかけっこをしたり、より物語への没入感が深まった。

 「大人になりたくない」という願望を持ち、生まれた日に家出したピーター。ウェンディに「俺たちのお母さんになってほしい!」とお願いし、“妖精の粉”をふりかけ空を飛べるようになった3人とともにネバーランドへ出発。ロンドンの夜空を飛び回るフライングシーンはファンタジー感満載で目を奪われた。

 4人がネバーランドへ旅立ったタイミングで15分間の休憩に。客席の子供たちからは「私も空を飛んでみたい!」と元気な声が聞こえてきた。確かに、「アイム・フライング」を歌いながら空を自由に飛び回るピーターたちを見るとそうした感情も芽生えるだろう。高所が苦手な筆者も空を飛ぶ4人を見て「いいなぁ」と思わず感激。大人も子供もファンタジーの世界にどっぷり浸かれるのがミュージカル「ピーター・パン」の魅力の一つだ。

 休憩明けの2幕はロストボーイズ、モリビト、フック船長率いるパイレーツといった、ネバーランドの住人たちによる群舞シーンが続く。悪役のはずのフック船長もユーモアたっぷりで憎めない。演じる小野田龍之介(33)の圧倒的な歌唱力はもちろん、決めるところはセクシーに、ギャグシーンはとことん間抜けに演じ分けるその落差に思わず見入ってしまい、敵ながら愛着が湧いた。

 後半にも物語に没入できるポイントは満載。ピーターを助けようとして、毒の入った薬を飲んでしまい瀕死になったティンカーベル。ピーターが観客に向けて「妖精を信じる気持ち」を問うと子供たちからは「いいよー!」「信じるー!」と元気な声。会場からの声援と拍手を受けてティンカーベルは復活。ステージと客席が一体となってストーリーが続いていく演出は子供たちも飽きないし、この舞台が長く愛され続けている秘けつなのだろう。

 パイレーツに捕らえられたウェンディたちを助けるため、ピーターは海賊船に乗り込む。集団での戦闘シーンが続いていた中、フック船長との一騎打ちは迫力十分。すっかり愛着が湧いてしまったフック船長の最期に寂しさを覚えつつも、勝利したピーターは仲間たちと「雄叫びダンス」。ここではキャストたちが客席の通路にやってきて、超至近距離で観客と交流。また、それまで舞台上のみだったフライングも最後はピーターが客席の上空を舞い、客席に“妖精の粉”を振りまく。終盤に畳みかけるように続く客席を巻き込んだ体験型の演出は、子供たちにとっては強く思い出に残るはずだ。

 「ピーターパンは子供向けのお話」。そう思っていた筆者だったが、その内容には大人にも考えさせられるものがあると感じた。時が流れ、本当の母親になったウェンディをピーターが迎えに来る。しかし大人になったウェンディはネバーランドには行けないし、あの頃のように空を飛ぶこともできない。一方、ピーターはいつまでも無邪気な子供のまま。自由で想像力溢れる子供の思想も素晴らしいが、いずれ成長し大人になり、現実を見るようになっていく。大人になったウェンディとピーターの再会シーンは、「大人になること」の意義を考えさせられる一幕だった。

 東京公演は8月2日まで。その後、11、12日に愛知・御園座、17、18日に広島・広島文化学園HBGホール、24、25日に富山・新川文化ホール大ホール、31日に大阪・梅田芸術劇場メインホールでも公演を行う。

 大人にも子供にも見どころたっぷりなミュージカル「ピーター・パン」。この夏、親子でファンタジーな冒険の世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。(塩野 遥寿)

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