浅田次郎氏の「母の待つ里」NHKで映像化 きっかけは浅田氏からの“逆オファー” ドラマP語る秘話

2024年09月28日 19:15

芸能

浅田次郎氏の「母の待つ里」NHKで映像化 きっかけは浅田氏からの“逆オファー” ドラマP語る秘話
NHK BSで放送される浅田次郎氏の最新長編作を原作とする特集ドラマ「母の待つ里」。キービジュアル(C)NHK Photo By 提供写真
 “異色の家族小説”として大反響を呼んだ浅田次郎氏の最新長編作を原作とする特集ドラマ「母の待つ里」の第3話・第4話が、28日午後9時からNHK BSで放送される。俳優の中井貴一(62)、松嶋菜々子(50)、佐々木蔵之介(56)、宮本信子(79)ら実力派俳優陣の出演で、放送前から注目を集めていた同作。映像化の経緯は?制作統括の高城朝子氏がスポニチアネックスの取材に応じ、浅田氏とのやり取りや、作品に込めた思いを語った。(中村 綾佳)
 本作は、同局連続ドラマ「仮想儀礼」やドキュメンタリー番組「アナザーストーリーズ」などを手掛けた高城氏が制作統括を務めた。岩手・遠野の美しい原風景を舞台に、登場人物の心情を丁寧に描写。見る者の郷愁を誘う、唯一無二のドラマをつくり上げた。

 演出は、「NHKスペシャル」や「中国王朝シリーズ」などのドキュメンタリーで原作の浅田次郎氏と度々タッグを組んできた阿部修英氏。阿部氏にとって初のドラマ演出作となった。

 阿部氏と浅田氏は、ドキュメンタリーの仕事で10年来の付き合いがある。阿部氏と長年仕事をともにしている高城氏は、「浅田先生から“これ、読んでみて”と直接、作品をいただいて。長い付き合いの阿部に託してくれたんです」と、異色の小説が映像化に至った経緯を明かした。

 原作の魅力を、高城氏は「説明をしすぎないこと」と分析する。「ドラマでも、ほとんど説明のシーンはありません。通常は、人物の関係や状況について映像の中で説明することが求められるのですが…一切、説明しないという、ちょっとチャレンジングな作品になりました」。

 あえて、説明をしないという挑戦。高城氏は「ドラマだからこそ、伝わるものがあると思うんです」と力を込める。「ドキュメンタリーは人の人生をお借りして何かをお伝えするという感じなのですが、ドラマは、原作・脚本・演出・美術…それぞれのプロが『アベンジャーズ』のように、作品に肉をつけていく。自分が想像していたものの100倍凄いものが完成する。より、伝えたい事が伝わると思うんです」。主にドキュメンタリーを手掛けてきた高城氏や阿部氏にとって、その世界は驚きの連続だった。

 この物語を通して、伝えたいこととは?高城氏は「ドラマに登場する松永(中井)、古賀夏生(松嶋)、室田(佐々木)の3人は、みんなそれぞれ東京で暮らしていて、いわゆる“成功している方々”。他人から羨ましがられるような人たちですが、それぞれが人に言えない孤独を抱えている。誰にも言えない…という設定。“設定”ですが、人は誰しも、この孤独を抱えていると思うんです。どうやって他人と関わっていくか、どうやって自分の殻をやぶっていくか。自分を孤独にしているのは自分なんじゃないか…そういうことを思いながらドラマをつくっていました」と思いをめぐらせる。

 高い評価を得た原作を、上質な映像と実力派キャストで世に送り出す。阿部氏は「1カ月間、遠野で撮影をするという、近年ではなかなか見られない贅沢なドラマだと思います。遠野ののびのびとした環境で、俳優陣が熱のこもったお芝居を見せてくれました」と胸を張り、「何か大きな事件が起きるわけではないのですが、上質なお芝居と映像をご堪能いただければと思います」と胸を張った。

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