【コラム】川本治
球際の強さ、臨機応変さ必要
2013年10月29日 06:00
サッカー
勝負に徹するなら、ノックアウト方式で戦い方を変える選択肢もあったかもしれない。だが、吉武監督は相手が守備を固めてくることを想定した上で、あえてポゼッションサッカーで崩すことにこだわったと思う。その意味で、負けはしたものの、ボールを止める、蹴るという基本技術の高さをあらためて証明した。今大会は全試合に先発した選手は一人もおらず、誰が出ても同じサッカーをできることも強み。これは今のA代表にはないもので、ザッケローニ監督にも見習ってほしい。
1失点目はDFがもう少し寄せていれば防げたし、2失点目はGKのミス。世界の強豪を相手に試合を重ねることで“ここは寄せないとやられる”などという感覚は身についてくる。ここ数年の日本はU―17世代までは世界で通用するが、U―19、U―23など、この先をいかに強化するかが課題。今後はポゼッションをベースにして、球際の強さ、試合展開に応じて臨機応変な戦いをする駆け引きなどが必要になる。いずれにしても18、22年のW杯や東京五輪など先を考えれば、意義の大きい大会だった。(川本治=元ジェフ市原強化部長)