旅・グルメ・健康
【生島ヒロシ オヤジの処方箋】季節の変わり目のくしゃみ、鼻水…気温が原因かも 寒暖差対策なんて簡単さ
2021年09月17日 12:00
社会
朝、家から出て少しヒンヤリした空気を吸い込んだら、突然鼻水が流れて、くしゃみが出る。最近、こんなことありませんか?新型コロナウイルスに感染したかも、と心配になる人もいるかもしれません。実はこれ「寒暖差アレルギー」かもしれないのです。あまり聞き慣れない病名。東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長で医学博士の石井正則先生に、対処法などをうかがってきました。
「アレルギーと付いていますが、実際はアレルギーではない鼻炎です。正式な病名は“血管運動性鼻炎”といいます」。なるほど。花粉やハウスダストにアレルギー反応を起こすのとは違うということですね。「寒暖差アレルギーは、春よりも秋に出やすい傾向にあります。今の時季はちょうど衣替えで、冬物を出したり、ラグを出したりしますよね。そうするとハウスダストやダニの死骸が舞って、それを吸い込むことでアレルギー性鼻炎を発症する人も多いです。寒暖差アレルギーと初期症状は似ていますが、アレルギー性鼻炎ならば検査をすれば分かります」とのことです。
石井先生によると、寒暖差アレルギーは「温度差が7度あると起こると言われている」そうです。発症の要因は「暖まった状態から急に冷たい空気を吸い込むと、自律神経が乱れ、副交感神経が活発になり、血管が拡張することなどで鼻水やくしゃみが出る。血管への反応が過剰になることで起きると考えられています」ということです。「寒い冬にラーメンを食べると鼻水が出ますよね。くしゃみ、鼻づまりまでとはいかないですが、メカニズムは同じです」。分かりやすい例ですね。
自律神経が乱れている。つまり、ストレスがたまっていたり、睡眠不足だったり、疲れが抜けない、そういう人に起こりやすいということですね。「音楽室にかかっていたベートーベンの肖像画を思い出してください。寒暖差アレルギーの患者さんは、あのベートーベンのように額や眉間にしわが出ている方が多い。ストレスや疲れがたまっている証拠です」。石井先生は臨床に基づいて、こう指摘しています。鏡で顔をチェックしてみてください。
寒暖差アレルギーへの対処としては「まずはストレスをためないこと」と石井先生は強調します。診察を望むなら耳鼻咽喉科。病院では「鼻の粘膜が過敏になっているので、ステロイド系の点鼻薬を処方します」とのことです。花粉症と同じ抗アレルギー薬も効き目があるそうですよ。
でも、できれば予防したいですよね。そこで石井先生が、効果が期待できる予防法を紹介してくれました。
表を見てください。まずは、寒暖差アレルギー発症の目安「温度差7度」に注目。どの天気予報でも1日の最高気温、最低気温が出ますから、しっかりとチェック。寒そうだなと思ったら、1枚羽織るものを。体温を上げておくことも大事です。首を温めることが特に効果的。「首の周囲には太い血管が通っているから」だそうです。あと石井先生は、足先や指先を温めることを勧めます。「指の先では血管がループ状になっています。血液が行ったきりでなく、戻ってくるために」とのことです。
お風呂では、あまり熱くないお湯にゆっくり漬かることがポイントだそうです。自律神経を整えるためにはリラックスしないと。
筋肉を付けることも重要なんですって。「筋肉量が増えると自律神経が安定してくる」からだそうです。筋肉量が減ってきている高齢者は特に気を付けたいですね。ウオーキングも、ただ歩くだけじゃなく「坂道を上ったり、歩く速度を速くしたり遅くしたりと、ある程度負荷をかけた方がいい。慣れてきたら、往復で40分ほど歩くことを目標に」ということです。
今の時代、鼻をかんだり、くしゃみをする人がいれば、周囲は気にしますし、その人も後ろめたさを感じてしまうもの。新型コロナに感染しているわけではなく、たとえ寒暖差アレルギーであったとしても。まずは予防。それでも鼻水が、でも熱はないけど、という人は耳鼻咽喉科を訪ねてみましょう。
◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の70歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。