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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】「コロナ疲れ」解消にはポジティブな発想
2020年04月11日 12:00
社会
人との接触を避ける。それには、なるべく外出しないことです。でもずっと家に居たら気持ちも塞(ふさ)ぎますよね。食料品を買いに出たとき感染したんじゃないか。不安でしょうがない人もいるんじゃないでしょうか。どうしたらいいのでしょう。保坂サイコオンコロジー(精神腫瘍学)クリニック(東京都中央区)の院長で医学博士の保坂隆先生に対策をうかがいました。
コロナに対する不安が強くなると、精神的にも身体的にも「コロナ疲れ」の状態になるそうです。こうなると食欲がなくなったり、睡眠障害が出たり、イライラが収まらなかったりという症状がみられるようになるといいます。
保坂先生は「新型コロナは感染症なので予防が可能。手を洗って、外出を自粛して、3密も避けた。“ここまでやったんだから大丈夫”と自分を納得させることが大事」と強調します。「やるべきことをやったら、その先は考えない」という姿勢。「コロナ疲れ」にならないために大切な点です。コロナ疲れが病的になっていくと、外出自粛ではなく引きこもり→孤立→うつにつながっていくんですって。
保坂先生は、手だけでなく顔もせっけんで洗うことを勧めます。確かにウイルスは目、鼻、喉の粘膜から侵入するわけですから。先生自身も実践しているそうですよ。
もう1点。この期間を「不安に思うのではなく、ポジティブに捉えること」だそうです。これまで時間をかけてできなかったことに挑戦するチャンスと捉える。保坂先生はまず「脳の活性化が得られる読書」を勧めます。しまい込んでいた歴史ものとか、時間がたっぷりあるからこそ読み始められる大作に挑んでみるのもいいですね。保坂先生は渡部昇一さん、私は今村翔吾さんの作品がオススメです。
あとは「最新技術に触れてみる」ことだそうです。スマホやパソコンでテレビ電話に挑戦です。外出自粛でお孫さんに会えない。でも姿を見て、声も聞きたい。一人暮らしの高齢者には話すきっかけにもなりますし、何より使いこなすのにそれなりに頭を使いますから。お孫さんやお子さんたちとの距離もグッと近くなります。家に居ながらにして世界が広がります。
《筋力低下防止と脳活性化》本を読んでスマホいじって、頭は使いました。次は体です。「フレイル」って聞いたことありますよね?加齢によって運動・認知機能が低下していくことです。高齢者が家にこもって動かないと筋力がどんどん衰えます。その予防も重要です。
保坂先生も「運動も脳を活性化させます」と指摘しています。図を見てください。椅子を使って簡単にできる筋トレです。椅子が1脚あれば、いつでもできます。無理をしてはダメですが、自分ができる範囲で日課にしてみませんか。コロナには感染しなかったけど、緊急事態宣言が明けた後、足腰が弱って歩けなくなってしまったなんてことにならないようにね。散歩もいいですよ。3密を避ければいいんですから。保坂先生も1日1時間ほど散歩をしているそうです。生活必需品を買いに出たついでに、近所の静かな場所を歩きましょう。これから陽気もどんどん良くなりますから。土日はスーパーも混むでしょうから、平日がいいですね。
日本老齢医学界は、テレビ番組のCM中に足踏みしたり、ラジオ体操をすることを勧めています。取り入れてみましょう。私はテレビを見ている間はストレッチをして体をほぐしています。
このところ、ユーチューブで志村けんさんのお笑いの動画をよく見ます。追悼の意味も込めて。こんな時だからこそ「笑い」は必要だな、と改めて思います。動物の可愛い動画もいいですね。癒やされます。家族と同居している人は、奥さんや、お母さんの負担についても考えてくださいね。「ありがとう」の一言やちょっとした配慮が、夫婦、一家円満の秘けつです。
守るべきことは守る。それで安心。緊急事態宣言が明けるまで、元気に過ごしましょう。
◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。