【暑さ対策】トレーナー直伝!暑くて運動できないときの対処法

2023年07月27日 09:00

【暑さ対策】トレーナー直伝!暑くて運動できないときの対処法
暑さが厳しくなる夏は、少し動くだけでも疲れを感じますよね。朝から「今日も暑い」「身体が重い」と感じる人も多いのではないでしょうか。それでもランニングや筋トレなどに励む人は少なくありません。高温多湿の環境でも元気に運動を行 […]

暑さが厳しくなる夏は、少し動くだけでも疲れを感じますよね。朝から「今日も暑い」「身体が重い」と感じる人も多いのではないでしょうか。それでもランニングや筋トレなどに励む人は少なくありません。高温多湿の環境でも元気に運動を行う方法はあるのでしょうか。

今回は、夏でも屋外で競技を行うアスリートたちの対処法を参考に、プロスポーツトレーナーである筆者が運動時の暑さ対策をご紹介します。

対策その1 水分補給は「塩分・ミネラル」も重要

脱水症状を防ぐのに水分補給が重要であることは、皆さんご存知の通りです。しかし、ただ水分を補給するということだけでなく、そのやり方によって効果は変わってきます。

大量に汗をかくときはスポーツドリンクも活用

飲み物の種類によって、脱水症を効果的に予防することができます。運動時の脱水症状は、多量の汗で体内の水分が不足することによって起こりますが、失われるのは水分だけではありません。汗がしょっぱいように、ミネラル分も一緒に失われてしまうのです。

水やカフェイン飲料ばかりを大量に摂取すると、ミネラル補給ができず体内のミネラル濃度が薄まってしまいます。それによって筋肉の収縮がスムーズ行われなくなり、足がつるなどの症状が出ることも。

大量に汗をかく場合は、麦茶や、塩分・ミネラル分が含まれているスポーツドリンクなどを摂取すると効果的です。

スポーツドリンクは甘すぎて喉が渇くという人は、水で薄めて飲むといいでしょう。パウダータイプのスポーツドリンクなら好みの薄さに調整しやすいという利点があります。

飲み物の温度は5℃~15℃程度

吸収を効果的に行うためには、飲み物の温度も重要です。運動をして汗をたくさんかいたときは、氷のたくさん入った冷たい飲み物が欲しくなるものです。しかし、飲み物の温度によっても吸収スピードが変わります。

飲み物の温度は、5℃~15℃程度がもっとも体内への吸収が早いといわれています。氷を入れたものより、冷蔵庫から出したくらいの温度の方が吸収は早いのです。

ただし、冷たすぎるものばかり飲んでいると内臓の働きが弱まって胃腸の調子を崩したり、食欲不振やだるさを引き起こすこともあるので注意しましょう。

こまめに水分を補給する

喉が渇いたら一気に水分をとるという人は多いでしょう。しかし、その方法は効果的ではありません。なぜなら、体内に水分が吸収されるのにも時間がかかるからです。

水分が体内に吸収されるまでには約30分かかります。そのため、喉が渇いてから飲むというのは効果的ではありません。喉が渇いていなくても、こまめに水分を補給する方が効果的です。

これは運動中も同じです。一度に大量に水分補給をすると、お腹が膨れ、運動中に腹痛の原因になります。摂取量の目安として、運動前はコップ1杯くらい摂取しておき、運動中は喉が潤う程度で少量ずつ飲むようにしましょう。

対策その2 気化熱で体温を下げる

人は暑いと汗をかきます。この汗に体温調節の働きがあることは、多くの方がご存知でしょう。しかし、ただ汗をかくことで体温が下がるわけではありません。

体温を下げるには、皮膚上の汗を蒸発させる必要があります。汗(水分)が蒸発することによって熱を奪い、体温が下がるのです。この働きを「気化熱」といいます。

脱水症状になると汗が出なくなりますが、この現象は「発汗漸減(はっかんぜんげん)」と呼ばれています。これは無駄な汗を減少させて体液を保持する働きによって起こり、発汗量が多いときほど顕著に起こるとされています。

汗が出なくなると気化熱が起こらなくなり、体温が下がらず、熱中症になりやすいのです。

首元や手足に水をかけて気化熱を生み出す

普段から運動をしていない人や冷房がガンガン入っている中で過ごしている人は汗をかきにくく、急に暑くなった時に汗がうまく出ず熱中症になりがちです。

そんな時は、水分を肌にかけることによって気化熱を生み出し、体温を下げることができます。運動中に暑さを感じたら、首元や手足に水をかけて気化熱を生み出しましょう。

また、軽い熱中症になりかけと思われる症状が出たときは、首や脇などを部分的に冷やすよりもカラダ全体に水をかけてみてください。

そのうえでうちわや扇風機など風を起こして気化熱を活用した方が、効果的に体温を下げることができます。

対策その3 運動後のアイシング&アイスバスもおすすめ

この時期は運動後に限らず、カラダを動かした後は体温が上がりがちです。そんな時は、カラダを冷やすアイシングを行いましょう。

運動後であれば特に使った部分を中心に、暑さだけであれば首元や脇、そけい部など太い血管がある部分を中心に冷やすと、効率よくカラダを冷やすことができます。

「アイシングは面倒くさい」「つい忘れがち」という人は、アイスバスで部位を冷やすという手もあります。15℃くらいの水を湯船に溜め、ただ腰までつかるだけです。極端に冷たくする必要はありません。逆に冷たすぎる水温は、効果を引き出せなくなるのでやめましょう。

対策その4 暑さに慣れることも実は大事!

暑さでも元気に過ごすためには、暑さに慣れることが必要です。暑さに慣れることは「暑熱順化(しょねつじゅんか)トレーニング」と呼ばれ、真夏の暑いところで競技を行うアスリートや、暑さの中で活動する消防隊員などでもよく行われています。

暑熱順化トレーニングを行うことで発汗量が増えたり、心拍数の上昇を抑えたり、体温の上昇を防ぐ、循環血液量を増やすなど暑さに強くなることが分かっています。また、暑さによる疲れも感じにくくなると言われています。

涼しいところばかりにいないで、屋外でウォーキングなど軽い運動をするだけでも暑熱順化トレーニングになります。積極的に外に出て、徐々に暑さに慣らしていきましょう。

暑さによって疲れやすくなる時期だからこそ……

暑さによって、何をするにも疲れやすい時期。しかし対策を行えば、体のつらさを軽減し、元気に過ごすことができます。今回ご紹介した対策を行うとともに、日頃からカラダのケアを忘れず、楽しい夏を過ごしましょう。

[筆者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師のほか、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、さまざまなメディアで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)の認定トレーニング指導者
【公式サイト】https://wada0129.wixsite.com/takumiwada
【公式Facebook】https://www.facebook.com/pt.wada/

<Text:和田拓巳>

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