全農杯全日本卓球選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部) 4年ぶりの有観客、声援で子供たちが躍動
2023年08月05日 12:00
卓球
小学生ながらTリーグ女子・京都カグヤライズに在籍。2年生だった一昨年のバンビ、3年生だった昨年のカブを制し、今大会も優勝候補の筆頭だった。他の選手にマークされる立場で研究もされていたが、受け身にはならずに攻めの姿勢を貫いた。決勝では右手甲に「自分との戦い」「卓球台を広く」「余裕を持つ」と書き、左右に揺さぶりながら得点を重ねた。「同い年でも年下でも向かっていけた」と強気の姿勢は崩れなかった。
4人きょうだいの長男・輝空(木下グループ)は19年に6連覇を達成。20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったが、21年からは長女・美空が勝ち続け、松島家は〝9連覇〟となった。今大会には次女・愛空がバンビの部に出場して準優勝。悔し涙に暮れた妹は「フォアハンドを見習いたい」と姉に敬意を表した。
将来の夢は「五輪で金メダルを獲ること」で、日々、左シェークドライブ型に磨きを懸けている。次の目標は東アジアホープス大会。4年生ながら代表に入り、「団体、シングルとも優勝したい」と力を込めた。
▼準優勝・鈴木希華 力は出し切った。楽しかった。これからは入れたりするだけでなく、もっと攻めていきたい。
カブ男子では、3年の樽井陸が激闘を制し、昨年のバンビに続き2世代制覇となった。年上との対戦がほとんどだったのにもかかわらず「自信はあった」という通り、安定した試合運びが目立った。「張本選手のようにいっぱい優勝したい」と早くも来年のカブ連覇を見据えた。昨年は優勝で米をもらったが「今年はお肉ももらえるのでうれしい」とあどけない笑顔を見せた。
▼準優勝・重田柊介 初めてランキング入りできて良かった。去年は点差が離れると泣き出したが、メンタルが強くなった。
ホープス男子は昨年3位の大野颯真が19年バンビに続く2世代制覇。決勝は同門対決だったが、ピッチの速い攻めで主導権を譲らなかった。1ゲームも落とさず頂点に返り咲き「自分から先に連続で攻撃できたのでよかった」と振り返った。憧れの選手は張本智和だが、将来の目標は「みんなに憧れられる選手になる」ということ。まずは今大会で小学生の憧れの存在となった。
▼準優勝・柴田洸 決勝まで行けたのは良かったが、最初から最後まで相手のペース。流れを変えられなかった。
ホープス女子は第5ゲームまでもつれた接戦を制した石田心美が4年前のバンビに続く2世代制覇を果たした。「2年、4年、6年で決勝まで進んで、2回優勝できたのはよかった」と最終学年で再び頂点に立てたことを喜んだ。昨年のホープスはリーグ戦で敗退したが、今年はバックドライブの強化とフォアストレートのパワーアップが実った。「少しは成長を感じた」と胸を張った。
▼準優勝・中田宇海 超悔しい。結構レシーブミスがあって、リードしていたときも慌てて打ってミスをしてしまった。
バンビ男子は第1シードの姚梓聡がサービスからの攻撃で優位に立ち、初優勝を飾った。得点を重ねるごとにスタンドの応援団とともに「ヨウ、ヨウ、ヨウ!」と雄叫びを上げて気持ちを高め「勝てると思って頑張ってやった」と語った。練習では足を動かすことを心がけ、サーブが強くなったことも感じていた。日本一の感想を問われると「ちょっとうれしい」と控えめだった。
▼準優勝・尾形栄虎 悔しかった。練習をして取り戻したい。(目標だった)しっかりあいさつすることができたのは良かった。
バンビ女子はサーブからの積極的な攻めが目立った平鈴莉空が、第1ステージから全てストレート勝ち。決勝の第3ゲームで相手ペースになりかけたが「みんなが応援してくれたので落ち着いてできました」と実力を出し切った。試合前は所属クラブの高校生の先輩から送られた〝面白動画〟で勇気づけられた。「早田ひな選手のようになりたい」とさらなる高みを目指していく。
▼準優勝・松島愛空 目標は優勝だったので、ダメだったから悔しい。相手が強かった。
全農は2013年から大会に特別協賛し「全農杯」として卓球少年・少女を応援している。全農の安田忠孝代表理事専務にスポーツを通じた支援などについて聞いた。
――4年ぶりの有観客となった大会の雰囲気について。
安田 声を出す応援があると子供たちが生き生きしていて、会場全体に活気がありました。子供たちは緊張もあったでしょうが、緊張も思い出になるのではないかと思います。
――大会に込めた思いは。
安田 毎年新しい感動があります。地方大会から応援させていただいているので、食を通じて、全農、農業、日本の食というものを知っていただく、いい機会になっています。
――会場にはブースが設置され、表彰式では副賞も贈られた。
安田 今年は新潟のお米を提供させていただきました。産地の人にも喜んでいただける機会になっています。
――全農所属の石川佳純さんが引退した。
安田 石川さんとのお付き合いは12年。いい選手と出会えて感謝しています。日本の食を応援したいという姿勢を持っていただいていて、今後は卓球を通じて子供たちの成長を支援するという活動もされると思いますので、変わらず応援させていただきたい。
――全農は卓球以外にカーリングなどのスポーツ支援や次世代支援も行っている。
安田 子供が成長するために食べることは欠かせないこと。次の時代を担っていく子供たちへの応援の一つと思っています。
――子供たちの食についてアドバイスは。
安田 おいしいと思って食べることが一番。〝なぜおいしかったのか、どのように自分の力に変わっていくか〟ということまで考えていただけたら、なおさらいいですね。
――大会からは多くの日本代表が出ている。
安田 期待しているのは、何よりも元気でスポーツをすることを楽しんでほしいということ。子供たちは夢を持っています。夢の実現には周りの人のサポートも必要で、そういうことを感じながら夢に向かってやっていけるという気持ちを持ち続けてほしい。この大会はそういうことを感じ取れる大会です。
28日の開会式では、全農の岡八寿博広報・調査部広報SR課課長が「私たちは〝アスリートの活躍をニッポンの食で支える〟をスローガンに、トップ選手、次世代を担う皆さんを、食を通して応援しています。成長期の皆さんにとって栄養バランスの取れた食事をするのは大切です」と激励した。
30日の表彰式では、上位入賞者に副賞として新潟県産米「新之助」を合計約1・5トンと国産黒毛和牛を計24キロ提供した。
会場内では全農ブースを展開し、石川佳純さん監修の「石川佳純(かすみん)カレー」や飲料の販売を行った。また、石川さんの特集企画として、全農との12年間のあゆみをまとめたパネルや石川さんの小学生時代についてまとめたパネルの展示も行った。
◆フェアプレー賞 ホープス女子に出場した稲垣芽唯(京都・田阪卓研)、バンビ男子の相原志綸(香川・あいはらスクール)が受賞。「石川佳純(かすみん)カレー」と石川さん直筆サイン色紙が贈られた。
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