オートミールは体に悪い?「肝臓に負担」「脂肪肝になる」という噂は本当なのか[管理栄養士監修]

2023年08月31日 09:00

オートミールは体に悪い?「肝臓に負担」「脂肪肝になる」という噂は本当なのか[管理栄養士監修]
ダイエットにおすすめの食材であるオートミールですが、「体に悪い」「肝臓に負担がかかる」などの噂があります。これらの悪い噂、本当なのでしょうか…。 本記事では、オートミールは体に悪いという噂について徹底解説! ネットでささ […]

ダイエットにおすすめの食材であるオートミールですが、「体に悪い」「肝臓に負担がかかる」などの噂があります。これらの悪い噂、本当なのでしょうか…。

そこで、オートミールは体に悪いという噂を管理栄養士さんに聞いてみました。 ネットでささやかれている悪い噂の真相も探っていきます。さらに胃に優しいレシピもご紹介します。

「オートミールは体に悪い」ってホント?

オートミールが体に悪いかどうかは、一概には言えません。体調が整っている時に適量食べる分には、体に良いと言えます。

しかし、良い面ばかりではなく注意したい面も確かにあります。

オートミールが「体に悪い」と言われる理由

オートミールは、食物繊維が多い食品です。そのため、食べ過ぎると消化器官に負担をかけてしまう恐れがあります。また、アンモニアも含まれているため、肝臓に負担がかかる恐れもあると言えます。

適量であれば問題なし!

適量(1食あたり30~50g程度)であれば、問題ないと考えられます。これらのデメリットがなぜ起こるのか、次のセクションで詳しく解説します!

「肝臓に負担」「腸に悪い」などの噂の真相

体に悪い理由として、「肝臓に負担がかかる」「腸に悪い」などが挙げられました。この理由を深堀ってご紹介します。他にも、「腸内環境が悪化する」などの噂も管理栄養士さんに聞いてみました。

「オートミールは肝臓に負担がかかる」ってホント?

「オートミールは肝臓に負担がかかる」というのは本当だと言えます。しかし、この肝臓への負担というのは食物のほとんどに言えることです。

オートミールは、アンモニア含有量の多さから、アンモニアを代謝する肝臓に負担がかかると言われています。しかし、アンモニアは食物のほとんどに含まれており、オートミールが特別肝臓に負担がかかるというわけではありません。

例えば、1食30gのオートミールよりも、1人前約100gのそうめんの方が、アンモニア含有量は多いのです。1日1食30g程度を摂取したからと言って、肝臓に負担がものすごくかかるということはないと考えられます。

▼アンモニア含有量(100gあたりの目安値)

オートミール 380mg
そうめん 420mg
白米 170mg

「オートミールは腸に悪い」ってホント?

オートミールは、食べ方や食べる量などによっては腸に悪い・負担をかけると言えます。そのため、「オートミールは腸に悪い」という噂は本当だと言えます。しかし、適量の摂取であれば、特に問題視する必要ないでしょう。

オートミールは、食物繊維を多く含む食材です。食物繊維はメリットが多いですが、消化に時間がかかるため、胃腸障害が出やすいのも特徴として挙げられます。

また、夜に摂取することで、消化時間と睡眠が重なり、消化不良になりやすく睡眠の質が落ちやすいという点も注意したいところです。

「オートミールは脂肪肝になる」ってホント?

「オートミールは脂肪肝になる」という噂は、間違いだと言えます。適量(1食30g程度)であれば、カロリーも糖質も少ないため、脂肪肝になる可能性は低いからです。

ちなみに、脂肪肝の原因には、アルコール性と非アルコール性があります。非アルコール性に関しては、過度なカロリー・糖質摂取で起きやすい疾患です。

「オートミールは女性ホルモンに悪影響」ってホント?

「オートミールは女性ホルモンに悪影響」という噂は、間違いだと言えます。反対に、オートミールを食べると、女性ホルモンに良い影響を与える可能性は考えられます。

オートミールには、ポリフェノールの1種である「リグナン」が含まれています。リグナンとは、腸内細菌の働きによって女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする成分です。

摂っただけで、女性ホルモンが増えるというわけではなく、

  • エストロゲンの濃度が高い時は抑える
  • 閉経後などエストロゲンの濃度が低い時には増やす

などの働きがあります。

リグナン以外にも、女性ホルモンのバランスを整えるビタミンB6も多く含むため、オートミールは女性ホルモンに良い影響を与えると言えます。

「胃がムカムカする」「腸内環境が悪化する」のはなぜ?

\次:管理栄養士さんからの対処法も/

オートミールを食べて胃がムカムカする・腸内環境が悪化する場合は、オートミールに多く含まれている不溶性食物繊維が関係していると考えられます。

食物繊維には、「水溶性」と「不溶性」があります。オートミールに含まれている不溶性食物繊維は、水に溶けにくく、胃の負担になる恐れがあるため、食べすぎると胃がムカムカすることがあるのです。

しかし、不溶性食物繊維は、消化管内でかさを増し、便の量を増加させ、排便を促す効果が期待できる体に良い栄養素です。胃がムカムカする人は、以下の対処法を実施してみましょう。

胃がムカムカする人への対処法

  • オートミールの摂取量を減らす
  • オートミールをしっかりふやかす など

管理栄養士直伝! オートミールの胃に優しいレシピ

オートミールを食べて胃がムカムカする人は、以下の胃に優しいレシピを試してみてください。少ない材料で簡単に作れるので、お料理初心者さんにもおすすめです。

管理栄養士・田中さんによる「消化器症状を抑える」ポイント

・適量を調理する(1食30g)
・消化に良い状態にするためふやかす
・脂質を抑える

レシピ① レンチン卵雑炊風オートミール

※写真はイメージです

 材料

  • オートミール:30g
  • 水:200ml
  • 卵:1個
  • 和風顆粒だし:小さじ1
  • ネギや刻みのり:お好みで

作り方

  1. 耐熱容器に、オートミール・水・顆粒だしを入れて、混ぜ合わせる
  2. ①にラップをかけて、600wで1分半加熱する
  3. 1分半後、容器を一度取り出し、溶き卵を合わせる
  4. 再びラップをして、600w2分ほど加熱する
  5. 最後にお好みでネギや刻みのりを加えて完成!

レシピ② 豆乳リゾット風オートミール

※写真はイメージです

材料

  • オートミール:30g
  • 無調整豆乳:200ml
  • 卵:1個
  • 粉チーズ:大さじ1
  • 塩:2つまみ
  • コンソメ:小さじ1/4
  • 乾燥パセリ:お好みで

作り方

  1. 鍋に、オートミール・豆乳・塩・コンソメを入れて弱火で5分程煮る
  2. 溶き卵を回し入れて、チーズを加えて混ぜ合わせる
  3. 器に盛って、パセリをお好みで振って完成!

レシピ③ サムゲタン風オートミール

※写真はイメージです

材料

  • オートミール:30g
  • 水:300ml
  • ネギ:40g
  • ほぐしチキン(サラダチキンなどでも可):50~80g
  • にんにく・生姜チューブ:各少々
  • 料理酒:少々
  • 鳥ガラ顆粒だし:小さじ1
  • 塩:ひとつまみ
  • コショウ:お好みの量

作り方

  1. ネギを食べやすい大きさに切る
  2. 鍋に塩コショウ以外の材料をすべて入れ、中火で3~4分加熱する
  3. 器に盛りつけて塩・コショウを振って完成!

おさらい! オートミールのメリット

\次:欠点ばかりじゃない! こんな”イイコト”が/

タンパク質が豊富

オートミールは、タンパク質が100gあたり13.7gと豊富です。

タンパク質は、人の生命維持や活動に欠かせない「脂質」「糖質」と並ぶ3大栄養素の1つで、ホルモン・酵素・免疫物質などを作り、栄養素の運搬を行ってくれる栄養素です。

1日に必要なタンパク質量は約50g(性別や年代などによって異なります)ですが、いつもの食事だけでは不足することがあるので、オートミールで補えるのは嬉しいポイントです。

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タンパク質50gってどのくらい?食材一覧と献立メニュー例、摂りすぎ・不足時のサイン

食物繊維が豊富で腸内環境を改善できる

オートミールは、食物繊維やミネラルも豊富な食品です。特に食物繊維は玄米の約3倍とたっぷり!

食物繊維は、善玉菌のエサになることで腸内環境の改善が期待できます。その結果、便秘の解消・栄養素の効率的な吸収に役立つと考えられます。

お米に比べて低カロリー&低糖質

1食あたりのオートミールとお米と比べると低カロリー&低糖質のため、ダイエット中の人におすすめです。お米をオートミールに置き換えるだけで、摂取カロリーをカットできます。

▼カロリーと糖質の比較(1食あたり)

  オートミール 白米
エネルギー 105kcal 234kcal
糖質 17.9g 53.4g

※オートミール1食分30gと白米お茶碗1杯分150gを比較しています

ただし、はちみつや大量のフルーツをトッピングすると、カロリーも糖質も大きく上がってしまうので食べ方には注意が必要です。

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オートミールとは。種類と栄養素、効果的な食べ方、おすすめアレンジレシピ[管理栄養士監修]

監修者プロフィール

三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック
管理栄養士 田中恭子さん

美術専攻の大学を卒業後、管理栄養士を目指すべく管理栄養士過程を卒業。学校給食、病院給食を経て、現在は『三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック』にて、糖尿病をはじめとした生活習慣病の食事指導に従事。体組成計を用いて、筋肉量と体脂肪率・内臓脂肪などを踏まえ、患者さまに寄り添った実現可能な食生活を目指す。毎月の院内紙を構成・編集・レシピ開発・挿絵と特技を生かして執筆中。院内紙バックナンバーは、ホームページよりご参照ください。

<Text:編集部>

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