【ラグビーW杯】大畑大介氏が明かす盟友・ジェイミーの素顔と学んだ世界基準
2023年09月08日 10:00
ラグビー
ラグビーW杯開幕直前トーク第4回 サンドウィッチマン×畠山健介氏】
ジョセフが世界への扉を開いてくれた。99年のW杯ウェールズ大会。神戸製鋼(現リーグワン神戸)入社2年目で迎えた自身初の大舞台は「右も左もわからない状況だった」という。当時23歳だった大畑は、本大会の熱気に完全にのみ込まれていた。
ウェールズ、サモア、アルゼンチンと同居したD組。死のグループと形容された予選リーグで日本は3試合とも攻守で圧倒される。初戦は10月3日のサモア戦。得点はSO広瀬が挙げた3PGのみで、9―43の完敗を喫した。その試合の前半だった。ボールを持った大畑は自らのランで仕掛けず、外側のスペースが空いていた事でキックを選択した。このプレーがジョセフやSHバショップの逆鱗(げきりん)に触れた。
「俺はおまえを信頼していた。にもかかわらず、こんな大きな舞台で、なぜ消極的なプレーの選択をするんだ?俺たちはおまえを信頼してボールを託しているんだ。そんな消極的なプレーをするのなら、俺はもうおまえにボールは渡さない」
ジョセフの辛辣(しんらつ)な言葉は自身のプレーを見直すきっかけになった。大畑は言う。「その言葉の裏に、自分を信頼してくれているという事が分かりました。だから、もう萎縮することはありませんでした。“おまえは世界でも活躍できる”、そう言ってくれました。そういう思いを表現する場じゃないですか、W杯というのは」。迷いが吹っ切れたのが2戦目のウェールズ戦だった。前半18分、日本代表はCTB元木の激しいタックルからボールを奪い返し、SHバショップから大畑にボールが渡る。ぐんぐん加速し、相手防御を振り切って30メートルを走り切った。W杯自身初のトライはこの大会の日本初トライ。大敗したが、一矢報いた。
「大畑大介というラガーマンが一定の評価をされる選手になったという部分で言うと、99年のジェイミーとの出会いは大きかったと思います」
練習すら一切の手抜きがない。日本の文化を吸収する意識も高かった。負けが許されないラグビー王国からやってきたジョセフのおかげで世界基準を知った。サモア戦の叱責(しっせき)だけでは終わらなかった。「おまえはもっとできるんだよ」――。仲間を鼓舞する言葉の力も一流だった。99年大会を境に飛躍し、テストマッチ通算69トライの世界記録を樹立した。日本人2人目のワールドラグビー殿堂入りも果たした大畑。その華麗な競技人生に彩りを加えた一人がジョセフだった。
◇大畑 大介(おおはた・だいすけ)1975年(昭50)11月11日生まれ、大阪市東淀川区出身の47歳。小3からラグビーを始め、東海大仰星、京産大を経て98年に神戸製鋼(現リーグワン神戸)入社。02年12月にフランス1部リーグへ移籍。03年に神鋼へ復帰し、トップリーグ初代王者へ導く。W杯は99年、03年大会に出場。テストマッチ通算69トライは世界記録。日本代表キャップ58。16年ワールドラグビー殿堂入り。現在は神戸アンバサダー。
ラグビーのW杯フランス大会は8日(日本時間9日)に開幕する。自国開催だった19年大会で日本代表を史上初の8強入りへ導いたのがジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、53)だ。今大会限りで退任するジョセフHCは、日本代表の一員として1999年のW杯ウェールズ大会に出場。当時、日本代表メンバーとしてともに戦った大畑大介氏(47)が本大会を前に盟友の素顔を明かした。(取材・構成 吉仲 博幸) 【ウェールズ、サモア、アルゼンチンと同居したD組。死のグループと形容された予選リーグで日本は3試合とも攻守で圧倒される。初戦は10月3日のサモア戦。得点はSO広瀬が挙げた3PGのみで、9―43の完敗を喫した。その試合の前半だった。ボールを持った大畑は自らのランで仕掛けず、外側のスペースが空いていた事でキックを選択した。このプレーがジョセフやSHバショップの逆鱗(げきりん)に触れた。
「俺はおまえを信頼していた。にもかかわらず、こんな大きな舞台で、なぜ消極的なプレーの選択をするんだ?俺たちはおまえを信頼してボールを託しているんだ。そんな消極的なプレーをするのなら、俺はもうおまえにボールは渡さない」
ジョセフの辛辣(しんらつ)な言葉は自身のプレーを見直すきっかけになった。大畑は言う。「その言葉の裏に、自分を信頼してくれているという事が分かりました。だから、もう萎縮することはありませんでした。“おまえは世界でも活躍できる”、そう言ってくれました。そういう思いを表現する場じゃないですか、W杯というのは」。迷いが吹っ切れたのが2戦目のウェールズ戦だった。前半18分、日本代表はCTB元木の激しいタックルからボールを奪い返し、SHバショップから大畑にボールが渡る。ぐんぐん加速し、相手防御を振り切って30メートルを走り切った。W杯自身初のトライはこの大会の日本初トライ。大敗したが、一矢報いた。
「大畑大介というラガーマンが一定の評価をされる選手になったという部分で言うと、99年のジェイミーとの出会いは大きかったと思います」
練習すら一切の手抜きがない。日本の文化を吸収する意識も高かった。負けが許されないラグビー王国からやってきたジョセフのおかげで世界基準を知った。サモア戦の叱責(しっせき)だけでは終わらなかった。「おまえはもっとできるんだよ」――。仲間を鼓舞する言葉の力も一流だった。99年大会を境に飛躍し、テストマッチ通算69トライの世界記録を樹立した。日本人2人目のワールドラグビー殿堂入りも果たした大畑。その華麗な競技人生に彩りを加えた一人がジョセフだった。
◇大畑 大介(おおはた・だいすけ)1975年(昭50)11月11日生まれ、大阪市東淀川区出身の47歳。小3からラグビーを始め、東海大仰星、京産大を経て98年に神戸製鋼(現リーグワン神戸)入社。02年12月にフランス1部リーグへ移籍。03年に神鋼へ復帰し、トップリーグ初代王者へ導く。W杯は99年、03年大会に出場。テストマッチ通算69トライは世界記録。日本代表キャップ58。16年ワールドラグビー殿堂入り。現在は神戸アンバサダー。
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