ソフトB・渡辺佑樹 戦力外の古巣・楽天に恩返しを 左サイドから140キロ台の直球と変化球

2023年06月20日 05:00

野球

ソフトB・渡辺佑樹 戦力外の古巣・楽天に恩返しを 左サイドから140キロ台の直球と変化球
アピールを続けている渡辺佑 Photo By スポニチ
 毎週火曜日にソフトバンクのファーム情報をお届けする筑後鷹の第33回は楽天を戦力外になって育成選手で加入した渡辺佑樹投手(27)だ。希少な左サイドから投げ込む投手として2軍でも存在感を見せている。支配下登録され、古巣・楽天との対戦を狙う。
 背番号172こそ投手陣で一番大きいが、球界でも数少ない左サイドから140キロ台の直球と変化球を投げ込む渡辺佑は面白い存在だ。14日の2軍の阪神戦(タマスタ筑後)では7回から登板して打者3人をピシャリ。「これからも一試合一試合を大事にやっていきたい」と気を引き締めている。

 横浜商大から17年にドラフト4位で楽天に入団したが、3年間で1軍登板はわずか1試合と苦しんだ。20年秋に楽天の石井監督から「横(投げ)にしてみないか?」と勧められフェニックス・リーグからフォームを変えた。「全然結果も出ていなかったですし、変えることにためらいはなかったです」。同じ左サイドから投げ込む高梨(現巨人)とも自主トレをし「フォームの感覚的な部分とか、いろいろ教えてもらいました」と形をつくり上げたという。

 昨年は1軍で13試合に登板して防御率2・13の成績を残したが、オフに楽天から戦力外通告を受けた。「野球をやらないという選択も考えました」と振り返る。12球団合同トライアウトでアピールしてソフトバンクの育成枠での加入を勝ち取った。宮崎春季キャンプの紅白戦でも好投し、開幕は2軍スタートだったが、結果を残せずにその後は3軍へ。

 「感覚が良くなかった」というスライダーの制球を意識して投げ込んだ成果もあり再び2軍に戻った。「出し入れというのはもう一個上のランクなので、ストライクゾーンで勝負できるように今もやっています」と話す。寺原3軍投手コーチは変化を感じており「3軍に来たときよりスライダーの質とかは成長していますし、それは本人の頑張りだと思います」と証言した。

 目指すは左殺し。小久保2軍監督は渡辺佑の特長についてテイクバックが小さく左打者のインサイドに直球や変化球を投げ込める投手と分析し、「そこに逃げる球(スライダー)があればもっと幅が広がる。僕だけじゃなくてコーチ、本人も思っている。磨ければもっと可能性がある」とスライダーの精度を極めてほしいと期待する。

 チームには長年1軍救援陣の屋台骨を支える同じ左サイドの嘉弥真もいるが、今季は開幕から状態が上がらずに現在はファーム調整。弱肉強食の世界だけに「それは僕にとってもチャンスだと思いますし、逃さないようにしっかり自分でやっていきたい」と目をギラギラさせている。目標の支配下選手登録を勝ち取れば、古巣の楽天と対峙(たいじ)する可能性がある。「投げる姿を見せればソフトバンクのためにもなると思うし、そこで見返したいというか、投げられれば一番いいかなとは思います」と力強く前を見つめる。(杉浦 友樹)

 ◇渡辺 佑樹(わたなべ・ゆうき)1995年(平7)11月8日生まれ、山梨県出身の27歳。富士学苑から横浜商大に進み17年楽天にドラフト4位入団。1軍では通算23試合に登板して0勝0敗、防御率2.89。トライアウトで今季からソフトバンクに育成枠で加入。1メートル83、85キロ。左投げ左打ち。

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