広島・床田に新井監督「お前に決める権利がある」 “志願”の9回続投で応えた今季最多122球完封劇

2023年08月18日 06:31

野球

広島・床田に新井監督「お前に決める権利がある」 “志願”の9回続投で応えた今季最多122球完封劇
<広・神>完封勝利の床田(右から2人目)を笑顔で迎える新井監督(左) (撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   広島6-0阪神 ( 2023年8月17日    マツダ )】 広島・床田寛樹投手(28)が17日の阪神戦で投手2冠に浮上する快投を演じた。今季最多の122球を投げ、9回を5安打零封。7年目で初の2桁10勝目を今季2度目の完封で飾り、ハーラートップに並ぶと同時に、防御率1・90でも再びリーグトップに立った。打線も上本崇司内野手(32)の中前先制打などで先発初対戦のビーズリーを4回途中KO。6―0の快勝で3カードぶりの勝ち越しだ。
 初の10勝目を手にした床田は安どの表情でチームメートとハイタッチを交わした。「絶対に勝とうという思いでマウンドに上がった。ずっと(10勝を)したいと思っていた」。雨の影響で34分間の中断があり、走者として塁上に立つ時間が長くても最後まで集中力を保った。7月27日のヤクルト戦で2桁勝利に王手をかけてから3試合目にしてつかんだ勝利は格別だった。

 140キロ台後半の直球に低めのツーシームを駆使。110キロ台のカーブで緩急をきかせて的を絞らせなかった。防御率1・90でリーグトップに浮上し、巨人・戸郷と並ぶ10勝と合わせてリーグ2冠に躍り出た。

 「球数も多かったので、代わるのもありかなと思ったが、こんなチャンスはなかなかないと思うので、無理を言って行かせてもらった」

 8回を投げ終えた時点で115球。9回を救援陣に任せる選択肢もあった中、話し合った新井監督から「この試合はお前が頑張ったんだから、お前に決める権利がある」と決定権を託された。“志願”して9回もマウンドに向かい、今季最多122球の力投で応えた。打撃でも4回1死一、二塁ではビーズリーの初球を右翼線へ。適時二塁打で自らを援護し、今季初打点をマークするなど、投打で躍動した。

 大事にするのは「割り切り」だ。試合前のブルペンでは「本番に取っておくために痛くならないように投げている」という。前半戦は17年に受けた左肘内側側副じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の影響でできた骨棘(こっきょく)による痛みに悩まされ、軽めの力配分で工夫。昨年8月の右足首骨折明けで「足の痛みを出さないようにやっている」と今も負荷をかけないようにダッシュやジャンプ系のメニューは避ける。身の丈にあったやり方で“痛み”ともうまく付き合い、白星を重ねてきた。

 「僕以外にも、いい左投手がいるので、頑張ってもらって、僕も負けないように頑張りたい」。球団日本人では22年ぶりに誕生した2桁勝利左腕として覚悟を新たにした。(長谷川 凡記)

【データ】
 ○…床田(広)が完封で今季10勝目。2桁勝利は7年目で初めてで、球団左腕では19年ジョンソン(11勝)以来。日本人では01年高橋建(10勝)以来22年ぶり。防御率、勝利がリーグ1位で勝率は同3位。広島で同一シーズンにこの3部門のタイトルを手にしたのは86年北別府学だけ。床田が獲得すれば37年ぶりチーム2人目。左腕では初の快挙になる。

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