慶応だけではなかった「やらされる野球ではなく…」星稜、慶大23年V校の共通点は「自主性」にあり

2023年11月27日 08:00

野球

慶応だけではなかった「やらされる野球ではなく…」星稜、慶大23年V校の共通点は「自主性」にあり
明治神宮大会高校の部決勝で作新学院を下し、優勝した星稜ナイン(撮影・大城 有生希) Photo By スポニチ
 今年のアマチュア野球界は、選手に自主性を求めたチームが結果を残した。夏の甲子園で優勝した慶応(神奈川)が代表例で、選手が髪型から練習内容まで考えて選択し、成長につなげた。
 11月に開催された明治神宮大会高校の部で優勝した星稜(石川)も自主性に重きを置いていた。山下智将監督は新チームを「選手が自分たちで考えることのできるチーム」と評価する。芦硲(あしさこ)晃太(2年)は、山下監督に主将就任を直訴した際に「やらされる野球ではなく、自分たちで考える野球をやりたい」と訴えたと言う。神宮大会では狙い球などを首脳陣からの指示ではなく選手間ミーティングなどで話し合い、1大会4本塁打の強打につなげた。

 明治神宮大会大学の部で日本一に輝いた慶大も自主性に秀でていた。堀井哲也監督は、慶大選手時代の恩師・前田祐吉監督からの教えについて「ベストを尽くせ、相手のことを思いやりなさい、自分で工夫しなさいと教えられた。この3つがエンジョイ・ベースボールなのだと言っていた」と振り返る。

 この「自分で工夫しなさい」を選手が体現した。今年7月、4年生が選手を続けるのか、学生コーチやデータ班などの裏方に回るのかを選手同士で話し合って決めたと言う。堀井監督は「報告を聞いたときに、これは素晴らしいことだと思った。これが今年のチームの大きな転機になり、チームが一つにまとまった」と選手の自主性の高さが日本一の要因の一つだと明かした。

 現代の学生は練習の意図に納得できれば必死に取り組み、理解できなければ身が入らないと多くの指導者から聞く。練習の納得度を上げるためにも、令和のチームづくりには選手の自発的な行動が欠かせない。自主性を求めたチームが次々と頂点に立ったことは偶然ではないだろう。学生の考え方と自主性を求めることの相性の良さが結果となって現れた1年だった。(記者コラム・河合 洋介)

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