選抜21世紀枠候補9校 人より牛が多いまちの別海など 気になる推薦理由は…
2023年12月08日 15:24
野球
▽21世紀枠とは 甲子園への出場機会を広げるために01年の第73回大会から導入。練習環境などのハンデ克服や地域貢献など戦力以外の要素も加味する。秋季都道府県大会16強(加盟129校以上の場合は32強)以上を条件に、全国9地区から1校ずつ候補として推薦。来春選抜から1減の2校となる。従来は東(北信越、東海以東)、西(近畿以西)から1校ずつ、残り7校から3校目を選出する方式だったが、来春から東西関係なく2校が選ばれる。
<21世紀枠候補9校>
◆北海道地区 別海
【推薦理由】
別海町は面積(1,319平方km)が広く、生乳生産量が日本一の酪農の町であり、乳牛の数が118,448頭(令和4年5月)おり、人口は14,246人(令和5年10月)で人よりも牛の数が多い町である。グラウンドの照明はホームベース周辺しか当たらない。また、冬日(日最低気温が0℃未満)が年平均で半年以上あるが室内練習場はなく、小さな農業用ビニールハウス(ティーバッティングで5組程)で工夫した練習をしている。別海町は広域なため中学校が8校ある。そのため各中学校の生徒数が少なく8校のうち単独野球部があるのは1校のみである。現在、本野球部にも中学校で野球経験のない部員が2名いる。8年前には部員不足から連合チームによる大会参加を余儀なくされたため、小学生、保育園への普及活動を行っている。
◆東北地区 仙台一(宮城)
【推薦理由】
硬式野球部は明治30年に創部し、県内では最古。多くの部員が学校行事や各種委員会でリーダーシップを発揮しており、学校全体に活気を与えている。放課後の活動は、学校から約8キロ離れた第二運動場で行われるため地下鉄や自転車で移動する。活動時間は19時までの2時間ほど。この限られた条件の下、1分1秒を大切にした分刻みの班別練習を行っている。また身体づくりにも力を入れ、選手が主体となって最先端の栄養学やトレーニング理論を探究し、日々実践している。近年の成績を見ると、ここ5年間でベスト8以上が7度と力をつけてきた。特に今年は私学の高い壁を越えて、春・秋連続で東北大会出場を果たすなど快進撃を見せた。旧チームから登板経験豊富な千葉・安藤の二枚看板を柱にディフェンス力が安定しており、実力的にも申し分ないチームである。
◆関東・東京地区 水戸一(茨城)
【推薦理由】
外野方向への打撃や実戦練習は月1~2回しかできず日頃は班別の個人練習が中心だが、バックネット付近のごく狭い空間をフル活用(ネットへのティー打撃2か所、ゲージ内トス打撃2か所、ブルペン内マシン打撃1か所など)、その間に別班は内野守備やウェイト練習などを行う。ハンデを補う創意工夫は選手が積極的に提案し他の多くの練習メニューでも実践。「一球入魂」を掲げるチームは時間の制約がある中で一球への集中力も高め日々鍛錬している。秋季県大会はシード2校を含む強豪に3戦連続零封勝利でベスト4に進出。最速141キロのエース小川は連続30イニング無失点を記録した。 野球と教育を結び付けた飛田先生をOBに持つ高校らしく21世紀枠に相応しい模範的なチーム。
◆東海地区・帝京大可児(岐阜)
【推薦理由】
所属する部員は、「トッププレイヤーはトップラーナーであるべきである」という考えのもと、質の高い「文武両道」の実現を目指している。卒業後はプロの世界の扉を叩く者、難関国立大学や私立大学へ進学する生徒も多数いる。部員自らが学業とスポーツに全力で取り組み、その相乗効果で人間力と人間性に磨きをかけ社会で活躍できる人材に成長している。そして、併設する帝京大学可児中学校の生徒や同小学校の児童との学校行事や様々な活動における異年齢集団との交流を通して、「人を思いやる心」を育んでいる。また、シーズンオフには近隣の小学生を対象とした野球教室を実施し、野球の楽しさや技術を伝えるといった活動を通し、地域貢献や野球界への貢献を図っている。
◆北信越地区 富山北部(富山)
【推薦理由】
近年の野球競技人口の減少を食い止めるべく保育園にてティーボール教室を行っている。さらに、毎年夏に開かれる富山市北部地区の小学生野球大会では審判として、また、マネージャーもアナウンスとして参加するなど野球普及に尽力している。 同校は総合制高校で、普通科と職業科がある。くすり・バイオ科では富山県の薬産業を支える人材の育成に力を注いでいる。レベルの高い学習指導を受け、補習やレポート作成に時間を削られながらも部活動に取り組み文武両道を実現している。 3年前の21世紀枠の選考の際には連合チームで多くの話題を集めた。統合によって閉校した水橋高校の思いも背負って活動する姿は少子化で統合する学校・地域の心の支えとなっている。
◆近畿地区 田辺(和歌山)
【推薦理由】
野球部の方針として学校の活動やクラスの仕事に積極的に取り組むことを推奨している。平素より学校内外の清掃活動は勿論のこと、近隣の扇ヶ浜の清掃や高山寺の年末大掃除には10年以上参加し地域に貢献している。加えて、7年前から地域の少年野球チームとの交流会、4年前から低学年の児童をHPで募集しティーボール交流会を実施している。年々参加者が増え、部員たちは今年もたくさんの児童を集め野球の楽しさを伝えたいと意気込んでいる。
◆中国地区 岡山城東
【推薦理由】
普通科進学校で平日は18時下校であるため、練習時間は朝1時間、放課後1時間半程度である。グラウンドもサッカー部、陸上競技部、ラグビー部、女子ソフトボール部との共用で制約が多い。そのような環境の中、常に時間を意識しながら、効率的かつ高い集中力を持って練習することで毎年安定した成績を残している。多くの生徒は学業では国公立大学進学を、野球部では甲子園を目標に入学してきており、学業にも野球にも効率的かつ高い集中力で真摯に取り組み、高いレベルでの文武両道を掲げて活動している。過去5年間の野球部卒業生の約65%が国公立大学に合格し、2022年度卒業生は10人中8人が現役で東京工業大学をはじめとする国公立大学に合格するなど実績をあげている。この10年間で春季県大会ベスト8に2回、秋季県大会にベスト4に1回、ベスト8に2回進出している。夏の選手権大会においては昨年、一昨年とともにシード校の玉野光南、倉敷工業を破るなど計4回ベスト8に進出している。
◆四国地区 大洲(愛媛)
【推薦理由】
グラウンドは、陸上競技部との共同で、全面使用できる日はほとんどなく、与えられた環境下で工夫した練習を心掛けている。家庭学習確保や列車通学の生徒のため、平日の練習は17時から19時までと決めており、短い時間でも試合の中での大事なプレーに繋がる練習を意識して主体的かつ効率的に取り組んでいる。さらに、部内では「人間的成長なくして技術的成長なし。」「心が変われば運命が変わる。」という活動目標を定め、誰からも応援される人材育成に力を注いでいる。また、部員には西日本豪雨で被災した生徒も多く、その経験からボランティア精神も重視しており、地域の人たちと助け合いながら危機を乗り越えた経験が厳しい環境下での練習にも生きている。毎年冬季に海岸清掃を実施するなど、地域貢献を心掛けている
◆九州地区 鶴丸(鹿児島)
【推薦理由】
つねに高校球児の模範となる行動を心がけており、地域から愛され応援されている。過去には1925年の第2回選抜大会に県勢として初の出場を果たしている。その後の出場はないが、これまで野球界全体や高校野球の隆盛に寄与された多くの先人が携わってきた。ベースボールを「野球」と国民に親しみやすい名前に和訳したことで知られる中馬庚氏は、教壇に立つとともに創部間もない野球部の指導に携わっていた。また、野球部OBである長ケ原誠氏は「マスターズ甲子園」の創設者であり実行委員長である。このような方たちの作り上げてきた伝統や熱い思い、そして今の選手たちの努力が1世紀の時を越えて奇跡を起こそうとしており、多くの方々に元気や感動を与えることができるこのチームこそ21世紀枠推薦校にふさわしいと考える。
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