阪神ドラ1・下村に能見氏が太鼓判 「左足の出し方がマー君、マエケンと同じ」「阪神・村上級の活躍期待」

2023年12月29日 05:15

野球

阪神ドラ1・下村に能見氏が太鼓判 「左足の出し方がマー君、マエケンと同じ」「阪神・村上級の活躍期待」
青学大・下村の連続合成写真
 阪神のドラフト1位・下村海翔投手(21=青学大)の投球連続写真を、元阪神、オリックス投手の本紙評論家・能見篤史氏(44)が分析した。能見氏は下村の左足の使い方に楽天・田中将大、タイガース・前田健太らとの共通点を見い出し、絶賛。最大出力を可能とし、球持ちが良く、柔軟性にも優れた投球フォームに太鼓判を押した上で、今季、リーグ最優秀防御率、最優秀選手のタイトルを獲得して日本一に貢献した阪神・村上に「似ている」と大きな期待を寄せた。(取材・構成=惟任 貴信)
 能見氏は下村の投球連続写真を一見し、静かにうなずいた。

 能見氏 全体的に、非常にいい投げ方だと感じる。体格に恵まれているわけではないが、体の使い方が非常にうまい。

 最初に着目したのは、左足の出し方だ。

 能見氏 まずは<5>~<6>の左足の出し方。前の足を出していく際、内側から出せている。これはなかなかできるものではない。少なくとも僕はできなかった。現役選手だと山岡(オリックス)や田中将(楽天)、前田(タイガース)も同じ出し方だ。普通の出し方だと、どうしても外側に力が逃げるが、内側から足を出していくと、力が逃げない。この使い方ができるということは、自分が持つ最大限のパワーをボールに伝えられるということ。最速155キロという数字も、うなずける。股関節も柔らかいのだろう。柔軟性がないと、この動きはできない。本当に理にかなった体の使い方。指先からボールに、しっかりと力を伝えられる投げ方と言える。

 左足の出し方に加え、球持ちの良さも特性として見い出した。

 能見氏 <6>までに、しっかり目標地にグラブを合わせて投げられている。このフォームならコントロールも横にブレることは少ないに違いない。<6>で体が前に出て行き始めているのだが、それでもグラブ位置は<5>のまま。ここから<7>に向け、グラブを着けた左手を手前に引くのではなく、グラブ位置の方へと体を持っていくことができている。この動きができると球持ちが良くなる。加えて前に体重を乗せることもできる。これも体の使い方がうまくないと、できない。だから投げた後の<11>でもしっかりと踏み込んだ足に体重を乗せることができる。力がボールに伝わっている証拠だ。

 肩の開きを抑えている点も、球持ちの良さにつながっている。

 能見氏 <6>~<8>にかけて、体の開きも凄く遅い。<6>で体が出て行こうとしているのだが、<7>の時点でもしっかり半身(はんみ)状態をキープできており、左肩も開いていない。これだけ粘って前でボールを離せるフォームだと、打者からすると距離感が近く感じるはず。つまり、打者の球種判断の時間を短くすることができる。これだけでも投手は有利になる。今以上に体ができてくれば、もっとリリースポイントは前になるはず。ただし、柔軟性は失わないようにしてほしい。

 賛辞を並べた最後に、下村と同タイプの投手として阪神・村上の名を挙げた。

 能見氏 ほぼ同じ体格で同じ右腕ということもあり、やはり阪神・村上とタイプが似ているとみる。真っすぐも速いので、かわすピッチングをする投手ではないだろう。そういう意味でも村上に近い。あとはベース板上の球の強さがあるかどうか。阪神で言えば、村上、大竹両投手は、やはりベース板上でのボールの強さを持っている。下村投手のボールはどうか。そこが最も重要だ。加えて大学とプロとでは年間の試合数がかなり違うので、体力面も課題になるだろう。それでもうまくいけば、村上のようなパフォーマンスを期待できる。まずは来年2月、どんなピッチングをするのか。それを見るのが、本当に楽しみだ。

 ◇下村 海翔(しもむら・かいと)2002年(平14)3月27日生まれ、兵庫県西宮市出身の21歳。小3から野球を始め、甲武中では宝塚ボーイズに所属。九州国際大付(福岡)では1年秋からベンチ入りも、甲子園出場なし。青学大では1年秋からリーグ戦に登板し、1部リーグ通算24試合7勝5敗、防御率1・63。1メートル74、73キロ。右投げ右打ち。

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