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広澤克実氏 阪神・大竹のスローボールに広島打者の“怒り”が見えた

2024年08月11日 05:15

野球

広澤克実氏 阪神・大竹のスローボールに広島打者の“怒り”が見えた
<神・広>7回、菊池にスローボールを投げる大竹(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1―5広島 ( 2024年8月10日    京セラD )】 【広澤克実 視点】阪神・大竹の持ち球であるスローボールに、広島打者の“怒り”が見えた。5回2死から86キロの超遅球で二ゴロに倒れた秋山の表情が凄かった。これ以上ない怖い形相だった。
 7回1死から球速表示も出なかったスローボールを大竹の足元に打ち返し、中前打にした菊池は一塁でニコリともしなかった。この一打がダメ押しの2点につながり、大竹は112球でマウンドを降りることになった。

 “怒り”が勝負の流れを決めた日本シリーズが過去にあった。短期決戦で3連勝したチームのある投手が「巨人はロッテより弱い」と発言し、巨人を刺激した。結果は3連勝4連敗で決着。事ほどさように、勝負で相手に余計な刺激を与えて、得することはない。

 大竹は阪神に移籍してからの2年間で過去8勝無敗の広島キラーだった。大竹は何も刺激する発言をしたわけではないが、あのスローボールは相手に「ナメるなよ」の心理を働かせる。投げれば投げるほど、プライドを刺激する球なのだ。

 投げたらいけないと言いたいのではない。大竹にとって必要な球だし、相手のタイミングを崩す効果は高い。だからこそ投げたときの副作用もあることは計算する必要がある。相手はこれからも敵意むきだしで来るはず。細心のリスクマネジメントが求められると感じた。

 大竹が打ち込まれ、直接対決で連敗。きょう11日に勝たないと自力優勝の可能性が消滅する。でも、これは数字上のこと。選手も気にはしないはず。広島がこれで一気に走るとは思えず、勝負は9月までもつれると見る。相手が“怒り”を持って向かってくるなら、阪神も負けないだけのモチベーションを高める必要がある。昨年の喜びをもう一度思い出してほしい。「もう一度胴上げしよう」「もう一度ビールかけをしよう」――。そのモチベーションは阪神だけが持てるはずだ。 (スポニチ本紙評論家)

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