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江東ライオンズ 一丸で3年連続6度目の日本一!主将の初回退場も谷津・伊藤バッテリーが救った

2022年08月09日 06:00

野球

江東ライオンズ 一丸で3年連続6度目の日本一!主将の初回退場も谷津・伊藤バッテリーが救った
3年連続6度目の優勝を飾った江東ライオンズ(撮影・西海健太郎)  Photo By スポニチ
【月刊ポニーリーグ7月号】
 マルハングループインビテーション大倉カップ第48回全日本選手権大会(7月23日から5日間)は江戸川区球場などで開催され、江東ライオンズが3年連続6度目となる日本一に輝いた。1年生を対象にしたポニーブロンコ大会は香取Pジュニアが初優勝。女子選手で結成した「ルミナスポニー」はハツラツとした動きでスタンドを沸かせた。

 江東ライオンズに3連覇をもたらしたのは谷津輝―伊藤心のバッテリーだった。左手首を負傷していた「4番・捕手」で主将も務める永尾愛蓮が1回表途中で退場。グラウンドから精神的支柱を欠くことになったが、代わって起用された伊藤は冷静だった。

 「打者1人で代わったので、相手は自分の肩を見ていない。盗塁を刺せれば流れを持ってこられるな、と」

 四球で出塁していた宜野湾ポニーズ・島袋二魁は、2番・中野勇海の2球目にすかさず二盗を仕掛けてきた。だが、矢のような二塁へのストライク送球で楽々と阻止。5回1死一塁からの二盗も再び阻止し、準決勝までの5試合で38盗塁していた相手の機動力を完全に封じ込めた。

 「三振よりも打たせて取る投球を心がけました。去年の秋は自分で負けてしまったので、冬の練習はしっかり頑張りました。3連覇のプレッシャーはありましたが、野手のおかげ、スタンドからの声援のおかげで、勝つことができました」

 3回から救援したエース右腕・谷津も、つけ入る隙を与えなかった。スライダーとカーブを内、外角に集め、最終7回まで毎回の6奪三振。鍛えられた守備陣も無失策の堅守を見せ、5イニングを無安打無失点に封じた。

 就任1年目だった田本剛監督は、優勝を見届けると歓喜の涙を流した。チームのOBでコーチから昇格。従来は選手の育成に力を注いできたが、勝利へ導く立場に変わったことで、人知れず重圧と闘ってきた。

 「苦しいこと、つらいことしかなかったですが、子どもたちからたくさんのことを教えてもらいました。表情、コンディションを見ながら起用法を考えて…。力そのものは去年の方がありましたが、今年のチームはまとまる力があった。全員が主役のチームです!」

 3回戦の佐賀ビクトリー戦は延長9回タイブレークで3点を勝ち越されたが、その裏に4点を奪って逆転サヨナラ勝ちした。同戦から決勝までの4試合連続逆転勝ちは、部員84人が一丸になれたからこそだろう。2日後の29日が34歳の誕生日だった指揮官にとって、V3は最高のプレゼントとなった。

《ブロンコ大会は香取Pジュニアが接戦制し初V》埼北Pジュニアとの接戦を制し、初優勝を飾った。大会規定で木製バットを使用していたことから6回まで無安打だったが、初安打が出た最終7回に四球や相手ミスに乗じて3点を勝ち越し。6回から救援し、最優秀選手にも輝いた福田旺志郎が2回を1安打無失点に封じた。

 「みんなで勝つことができた。2年後もこのメンバーで全国制覇したい」と福田。12人のメンバーは入部時から体づくりと並行して、潜在能力を引き上げるべく最低でも3つのポジションを経験。小林勉監督は「上で通用するためには必要。この子たちは気持ちが折れない強さがある」と称えた。


《女子部員だけのルミナスポニー、最後まで全力プレー》長い歴史を誇るポニーリーグにあって、画期的な一日となった。大会最終日となった27日。女子部員だけで結成した「ルミナスポニー」が、江戸川区球場で意義深い一戦に挑んでいた。

 「3年前ぐらいから、計画はしていました。来年には日本で女子のワールドシリーズを開催する計画があり、しっかり準備を進めようと。今年は全国から92チームが参加し、女子部員を15人ほど集めることができたので、実行に移しました」

 舵(かじ)取り役の那須勇元事務総長は開催までの経緯を明かした。ポニーリーグの協会本部がある米国側から、ワールドシリーズ開催の許可が下りたのは昨季のこと。その先駆けとして「ルミナスポニー」と、関西連盟に所属する社会人チーム「兵庫ブルーサンダーズポニー」との間で「女子の部王座決定戦」の実現にこぎ着けた。

 スタンドを埋めつくした男子部員からは熱い声援が送られ続けた。那須事務総長は言う。

 「男子部員は出番が多くない中でも頑張ってきた女子部員の気持ちをくみ、チームにとらわれることなく全力で応援していた。これぞ、ポニーファミリー、これぞ、人間教育だと思います」

 大差で敗れはしたが、ルミナスは炎天下に負けず、最後まで全力プレーを貫いた。「コールド負けはしましたが、一人一人が声を出して悔いの残らない試合ができた。こんなに素晴らしい舞台で戦えて、本当に楽しかったです」。主将を任された佐野由奈(大牟田ビクトリー)は感謝の思いを明かした。

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