藤井8冠 能登への思いを「駒」に乗せる 24日棋王戦第2局「楽しんでもらえる将棋にできるよう」
2024年02月24日 04:50
芸能
塩井さんはアマ三段の実力で、連盟石川県支部連合会理事を務める。盤駒にも魅了され、高級品の「盛り上げ駒」を複数所有。09年以降、金沢での棋王戦の対局でほぼ毎年、盤駒を提供し、今回の対局に向けても話が進んでいた。
地震が起きた元日午後4時ごろ、自宅1階で妻の紀美子さん(64)とだんらん中だった。紀美子さんは3日後、救出されたが検視では即死に近い状態だったという。
妻を失い、駒などの提供を見送ることを一度は決めたが、火葬が終わると、長男が小学生の時に将棋大会で入賞した時に、紀美子さんがとても喜んでくれていたことが頭をよぎった。1月22日、倒壊した自宅前に再び立ち、無傷の駒4組を発見した。
うち2組を提供した検分では、逆に選択を委ねられた。塩井さんは過去5回タイトル戦で使われたものではなく、初めてのものを希望した。「(地震で)今まで積み上げてきたものがゼロになった。今回初めて使ってもらえるということで、またスタートしたい」。検分後の前夜祭では藤井にあいさつし「お礼を申し上げると“よろしくお願いします”とお言葉をもらった。大変うれしい」。自らの再出発を駒に託した対局は午前9時、始まる。
≪「40手先まで…」徹子もビックリ≫藤井は23日夜、テレビ朝日「徹子の部屋49年目突入スペシャル」に出演した。テレビのトーク番組に出演するのは初めてだったが、司会者の黒柳徹子(90)からの素朴な質問に丁寧に応じた。8冠獲得後の気持ちについて「全く変化なく、普段の生活と変わらなく過ごしています」とにこやかに胸中を吐露。対局中、終盤には「長ければ40手先まで読んでます」と明かし、黒柳を驚かせる場面もあった。「徹子の部屋」で過去に羽生善治九段が出演したVTRで「対局の9割は覚えている」のコメントが流れ「そんなことがあるのかと。私は3割くらいです」と苦笑いも浮かべていた。
≪日本将棋連盟棋士会 被災者へ義援金約87万円を寄付≫日本将棋連盟棋士会は23日、棋王戦第2局を前に金沢市で開かれた「金沢対局の集い」で、能登半島地震の被災者への義援金約87万円を寄付した。棋王戦を特別協賛するコナミグループも1000万円を寄付した。義援金は、11日に北陸出身の棋士らで実施した復興支援オンラインチャリティーイベントの収益金が充てられた。日本将棋連盟の羽生善治会長とコナミグループの東尾公彦社長が、北國新聞社の砂塚隆広社長に目録を手渡した。同社を通じ石川県災害対策本部に届けられる。