藤井8冠 能登への思いを「駒」に乗せる 24日棋王戦第2局「楽しんでもらえる将棋にできるよう」

2024年02月24日 04:50

芸能

藤井8冠 能登への思いを「駒」に乗せる 24日棋王戦第2局「楽しんでもらえる将棋にできるよう」
 「金沢対局の集い」であいさつする藤井棋王 Photo By 共同
 藤井聡太棋王(21)=王将を含む8冠=が23日、金沢市内で、伊藤匠七段(21)を挑戦者に迎える24日実施の第49期棋王戦第2局の対局場検分を行った。
 対局場は元日に発生した能登半島地震の被災地に近く、その駒は地震で自宅が倒壊した石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)が提供する。「被災地の方に楽しんでもらえる将棋にできるよう、全力を注ぎたい。1日でも早く復興し、日常が戻ることを祈ってます」。全国各地を巡るタイトル戦。藤井は昼食やおやつで地元食材を使ったメニューを積極的に選択してきた。盤駒についても地元の協力あってこそとの思いは強く提供を歓迎した。

 塩井さんはアマ三段の実力で、連盟石川県支部連合会理事を務める。盤駒にも魅了され、高級品の「盛り上げ駒」を複数所有。09年以降、金沢での棋王戦の対局でほぼ毎年、盤駒を提供し、今回の対局に向けても話が進んでいた。

 地震が起きた元日午後4時ごろ、自宅1階で妻の紀美子さん(64)とだんらん中だった。紀美子さんは3日後、救出されたが検視では即死に近い状態だったという。

 妻を失い、駒などの提供を見送ることを一度は決めたが、火葬が終わると、長男が小学生の時に将棋大会で入賞した時に、紀美子さんがとても喜んでくれていたことが頭をよぎった。1月22日、倒壊した自宅前に再び立ち、無傷の駒4組を発見した。

 うち2組を提供した検分では、逆に選択を委ねられた。塩井さんは過去5回タイトル戦で使われたものではなく、初めてのものを希望した。「(地震で)今まで積み上げてきたものがゼロになった。今回初めて使ってもらえるということで、またスタートしたい」。検分後の前夜祭では藤井にあいさつし「お礼を申し上げると“よろしくお願いします”とお言葉をもらった。大変うれしい」。自らの再出発を駒に託した対局は午前9時、始まる。

 ≪「40手先まで…」徹子もビックリ≫藤井は23日夜、テレビ朝日「徹子の部屋49年目突入スペシャル」に出演した。テレビのトーク番組に出演するのは初めてだったが、司会者の黒柳徹子(90)からの素朴な質問に丁寧に応じた。8冠獲得後の気持ちについて「全く変化なく、普段の生活と変わらなく過ごしています」とにこやかに胸中を吐露。対局中、終盤には「長ければ40手先まで読んでます」と明かし、黒柳を驚かせる場面もあった。「徹子の部屋」で過去に羽生善治九段が出演したVTRで「対局の9割は覚えている」のコメントが流れ「そんなことがあるのかと。私は3割くらいです」と苦笑いも浮かべていた。

 ≪日本将棋連盟棋士会 被災者へ義援金約87万円を寄付≫日本将棋連盟棋士会は23日、棋王戦第2局を前に金沢市で開かれた「金沢対局の集い」で、能登半島地震の被災者への義援金約87万円を寄付した。棋王戦を特別協賛するコナミグループも1000万円を寄付した。義援金は、11日に北陸出身の棋士らで実施した復興支援オンラインチャリティーイベントの収益金が充てられた。日本将棋連盟の羽生善治会長とコナミグループの東尾公彦社長が、北國新聞社の砂塚隆広社長に目録を手渡した。同社を通じ石川県災害対策本部に届けられる。

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