将棋NHK杯決勝 佐々木勇気八段が藤井聡太8冠を下し初優勝「大変な終盤戦で今は胃が痛い(苦笑)」

2024年03月17日 11:51

芸能

将棋NHK杯決勝 佐々木勇気八段が藤井聡太8冠を下し初優勝「大変な終盤戦で今は胃が痛い(苦笑)」
NHK杯初優勝を飾った佐々木勇気八段(撮影・我満 晴朗) Photo By スポニチ
 将棋の第73回NHK杯は17日、決勝が放送され、先手の佐々木勇気八段(29)が藤井聡太NHK杯選手権者(21)=王将含む8冠=を169手で下し、初優勝を飾った。13年に加古川清流戦で優勝した佐々木だが、全棋士参加の一般棋戦は初制覇。藤井には初対決だった17年7月2日の竜王戦でデビュー以来の連勝を29で止めた以来、約6年半ぶりの白星。対戦成績は藤井の4勝2敗となった。
 連覇を逃した藤井は今年度の一般棋戦が終了。昨年度は出場資格のある4大会を全制覇したが、今年度は昨年11月の日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)で連覇を果たしたものの、銀河戦、朝日杯、そしてNHK杯は準優勝だった。この敗戦時点で今期の成績は45勝8敗。同日、栃木県日光市で開催中の第49期棋王戦5番勝負第4局(対伊藤匠七段)に勝っても46勝8敗の勝率・851で今期の公式戦が終了することになり、中原誠16世名人が1967年度に記録した史上最高年間勝率(・855=47勝8敗)更新は不可能となった。

 佐々木の優勝インタビューは以下のとおり。
 ――対局を振り返って。
 「角換わりのテーマ図をぶつけたいと思い、研究してきた」
 ――去年と違って勝利を呼び込んだのはどんなところ?
 「去年は力戦。本局は研究勝負で戦ってみようと思って臨んだのが結果的に良かった」
 ――自分のペースをつかめて手応えは?
 「先手番なので定跡の形をなにかつくれればと思い、作戦をぶつけてみた」
 ――2年連続の決勝進出で初優勝した思いは?
 「優勝できるとは思ってなかったので、本当は涙が出るくらいうれしいことだが、今は終わった直後で、大変な終盤戦だったこともあって、今は胃が痛いです(苦笑)」
 ――将来への抱負は?
 「また決勝の舞台まで勝ち進めるように努力したい」
 ――去年に続いての決勝進出。どのような気持ちで臨んだ?
 「藤井さん相手だと自分の研究をぶつけることになる。より良いものをぶつけたいと思った」
 ――先手番で角換わり。2年前の棋王戦で羽生―藤井戦と同じ戦型。
 「やってみたい局面。角換わりの中ではテーマの一つだった。正直、作戦選択はかなり難しかった」
 ――時間を使わず指した序盤は作戦どおり?
 「本局は私自身も公式戦で結構指している形。でも最近はこの形は指されてなかった。その藤井―羽生戦以来指されてなかったので、ちょっと定跡を進められたらと」
 ――中盤以降の進行は?
 「激しくなると攻める展開になると思ったが、そこまで行くと後手も怖いのかなと研究段階では思っていた。(本譜は)踏み込まれたので、こちらもギリギリだと思いながら指していた。ただやりたい将棋をぶつけることができたのは良かったなと思いながら指していた」
 ――難しい終盤戦でいけると思ったのは?
 「藤井さんが時間をつかって歩を成り捨ててきた場面があった。そこで先手がしっかり指せば勝ちになると思った」
 ――NHK杯初優勝の気持ちは?
 「本当に優勝できるとは思ってなかったが、藤井さんを追い詰めることができたらなと臨んだこともあった。前回が力戦の将棋で、ちょっと研究勝負から逃げたところもあったので、今回は研究勝負で、負けたらそれはそれで収穫があるかなとという気持ちだった。まだ優勝の実感はあまりないが、トロフィーが重かったので、それでうれしさがこみあげてきた。あともう少し長く持っていたら、腕がプルプルしたはず(笑い)」
 ――どこまでが研究範囲?
 「細かくなってしまうが…。自分の中の研究テーマ図で、藤井さんに角換わりをするのはかなりプレッシュアーはあるが、今回は研究勝負で臨もうと」
 ――終盤は藤井が激しく攻めてきた。
 「ちょっと悪手になってしまった後の後手の攻めの組み立てが自分には見えてなかった。藤井さんも自信がありそうだったので、負けにしたかなと思った」
 ――全棋士参加の一般棋戦では初優勝。この1勝はどんな意味を持ちそう?
 「藤井さんと当たることで研究を重ねてきた。きょう負けてもそれが今後に生きるかなと思っていた。勝てたのは良かった。藤井さんに勝てて自信にはなる。これからもしっかりとした将棋を指さないといけないという思いもくる。いい将棋が指せるよう精進したい」
 ――藤井戦は大きな舞台になることが多い。
 「当たると決まってから対策を立てるようでは間に合わない相手。自分の中では、まずは2位争いに加わりたい。そこができてからまた藤井さんのことを考えることになるのかなと思う。でも対局が付くということになると、がむしゃらに頑張る。また当たれたら自分の成長につながると思う」
 ――藤井の連勝を29で止めてから約6年半。それ以来の白星になる。
 「若いときは勝ちたいという気持ちを表に出していたが、だんだん年を取ってきて(苦笑)そういうことは言わなくなってきた。でも藤井さんの中の定跡にぶつかっていきたいという気持ちは持っていた。きょうは相手を意識し過ぎずというところもあった。過去に順位戦やNHK杯決勝といった大きな舞台で当たることが多く、負けるときは自分が見えていない筋で負ける。ほかの棋士とは違う負け方をするので、そこをどうにかしたい。その差をどう見るのかなとずっと思っていた。本局も良くなってから勝ちきらなければいけない将棋なのに、(藤井の)追い込みが厳しくて。逆転負けしてもおかしくなかった。自分の中ではこの一勝はかなり大きい。また対戦ができる位置までいきたい」
 ――胃は大丈夫? 
 「いや本当に痛くて(笑い)勝ちになったかなと思い始めてから少し大変だった(笑い)」
 ――勝因として自分の中で大きく感じるのは?
 「王手をされて追い込まれた時はきついかなと思ったが、そこで諦めなかったことかも。迫られても大丈夫な変化がまだあるかと思い、読みに集中できたのが良かった。秒読みの中では冷静に指せた」
 ――(収録の)2日前に朝日杯決勝で永瀬拓矢九段が勝ったのは意識した?
 「きょうの対策の中で矢倉も一つの候補だったので、かなり困った(永瀬戦は矢倉で藤井に快勝)。あの形も藤井さんはかなり研究しているのが分かった。きょうも同じ戦法を続けるのはちょっと…と思い、急きょ(角換わりを)ぶつけたという感じ。藤井さんとは公式戦で矢倉はなかったのでぶつけたい気持ちもあった。それは永瀬さんに指されたということで(苦笑)」

 ▼藤井王将 思っていた以上に激しい将棋になってしまって、その激しい流れに飲み込まれてしまったところがある。終盤は私の実力では判断ができないところが多く、非常に難しかった。来期(のNHK杯)は新たなスタートになるので、一局でも多く指せるよう頑張る。

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