袴田巌さんドキュメンタリー映画 監督と支援委員長が会見 9月26日再審判決「一刻も早く無罪に」

2024年09月12日 19:26

芸能

袴田巌さんドキュメンタリー映画 監督と支援委員長が会見 9月26日再審判決「一刻も早く無罪に」
「拳と祈り -袴田巌の生涯-」の公開を前に会見した笠井千晶監督(左)と新田渉世さん Photo By スポニチ
 47年7カ月もの獄中生活を送ってきた元プロボクサー袴田巌さん(88)を追ったドキュメンタリー映画「拳と祈り ―袴田巌の生涯―」の笠井千晶監督(49)と元ボクサーで日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会委員長を務める新田渉世さん(57)が9月12日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で会見した。
 1966年6月、静岡県清水市(現・静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害され、家に放火された事件の犯人とされ、80年に死刑が確定した袴田さん。翌81年から裁判のやり直しを求める訴え(再審請求)を起こし、う余曲折を経て2014年3月27日に静岡地裁が再審開始を決定。同時に釈放され、姉の秀子さんと暮らし始めて10年。いよいよ今年9月26日に再審の判決が下される。

 静岡放送の報道記者時代から22年間にわたって袴田さんを追い続ける笠井監督は「14年前の2014年に釈放され、死刑囚の肩書きのまま社会に戻った袴田さんの生活を、私は間近で家族のような目線で撮影してきました」と語り始めた。

 「袴田さんを語る時、メディアは例外なく事件の発生を出発点とします。しかし、本作は事件に巻き込まれる前の人生こそ伝えなければならないと発想を変え、88歳の袴田さんの人生をたどることにしました。30歳で逮捕された袴田さんにとってプロボクサーとして夢を追った20代の日々は獄中生活を生き抜く原動力だったと私は考えてます」と続けた。

 そして「本作の後半では袴田さんが作り上げた精神世界に迫っていきます。自己を神と名乗り、雨の日も風の日も街を歩く姿に私は袴田さんの並々ならぬ覚悟と深い祈りがあることを感じました。本作を通して、えん罪や死刑囚といった枠組みだけでは語れない人間・袴田巌さんの魅力を皆さんにご覧いただきたい」と言葉に力を込めた。

 同席した新田さんは「私は袴田さんが釈放される前の2006年から支援活動に参加し、翌2007年6月に東京拘置所で初めて面会しました。拘禁症により、会話は成立しないと聞いていましたが、“あんなの顔は打たれ強い”など、ボクサー同士の会話が弾みました。その後ほぼ毎月面会に通い続け、ボクシング界の話やパンチの打ち方などについて会話を重ねました」と袴田さんとの関係性を語った上で、再審無罪の判決が出た際には声明を発表し、後に「何かしらのイベントはしたい」と明かした。

 国家の意に反した判決を下した裁判官が左遷されたりするケースがあり、それをドキュメンタリーで発信したりもしている笠井監督は「再審無罪が出ても、手続き上は控訴が可能。それが心配です」と日本の司法制度の壁の高さに懸念を示しながら、「一刻も早く無罪にしてほしい。釈放されてから丸10年、表情も豊かになっています。食事や入浴、問題なくコミュニケーションが出来ます」と袴田さんの日常を口にした。映画は9月26日の判決を見届けたうえで、10月19日から渋谷ユーロスペース他で全国順次公開の予定だ。

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