新入幕・美ノ海「今日が最後になるかも…」決死の思いで臨む土俵 自身のケガと弟・木崎海の引退が転機

2023年10月30日 17:50

相撲

新入幕・美ノ海「今日が最後になるかも…」決死の思いで臨む土俵 自身のケガと弟・木崎海の引退が転機
番付表を手にする新入幕の美ノ海(撮影・前川 晋作) Photo By スポニチ
 日本相撲協会は30日、大相撲九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。新入幕を果たした美ノ海(30=木瀬部屋)は、福岡市東区の宿舎で会見を行った。
 入門から7年半かけてようやく新入幕を果たし「すごくうれしい。30歳で遅めの新入幕ですけど、コツコツ積み上げてきた結果がここに来て結びついたのかな」と感慨を込めた。鳥取城北高、日大で数々のタイトルを獲得し、入門から2年で関取昇進も、そこから5年以上を要した。

 転機となったのは、21年初場所。西十両3枚目で11日目までに7勝を挙げ、新入幕へ大きく前進していた。しかし13日目、貴源治の荒々しい掌底張り手を顔面に受けて脳震盪。翌日から休場し、7勝7敗1休で負け越しとなってチャンスを逃した。「その時から、焦って早く(幕内へ)上がりたいという気持ちよりも、毎日相撲を取れることがうれしいなと。今日が最後になるかもしれないという思いが強くなった」。脳へのダメージは力士生命を脅かすものだったため「感謝と怖さを忘れてはいけない」と考えるように。そこからは「一日一日応援してくださる方々に良い相撲を見せたいという思いが強くなって、少しずつ番付が上がって新入幕という形になったのかな」と振り返った。

 自身がケガをする4カ月前には、弟の木崎海が首のケガで引退。幕内目前の十両3枚目まで番付を上げていたが、25歳という若さながら志半ばで角界を去った。「一生懸命、弟の分まで頑張りたいなという気持ちはあります」。1回のケガで突然力士生命が絶たれてしまった弟の存在は「今日が最後になるかもしれない…」という決死の思いにつながっているはずだ。

 新入幕場所の目標は「後悔しない相撲。勝っても負けても、自分が納得して次の日を迎えること」。相撲が取れることへの感謝を胸に、幕内の土俵に上がる。

 ◇美ノ海 義久(ちゅらのうみ・よしひさ)本名=木崎信志。1993年(平5)5月6日生まれ、沖縄県うるま市出身の30歳。小1から智心館で相撲を始め、うるま市立具志川中2年時に全中16強。中3で鳥取西中に転校し、鳥取城北高に進学。2年時に世界ジュニア選手権重量級(100キロ以上)優勝。3年時に全国高校金沢大会優勝、国体優勝。日大1年時に東日本新人戦優勝。4年時に全国大学選抜宇佐大会優勝、全国学生体重別大会135キロ未満級優勝、全国学生選手権3位。木瀬部屋に入門し、16年春場所で初土俵。同年名古屋場所で序二段優勝。翌秋場所で三段目優勝。18年名古屋場所で新十両。1メートル76、130キロ。兄・木崎大輔さんと弟・木崎伸之助さんも同じく鳥取城北高、日大の相撲部で活躍。弟はのちの元十両・木崎海。

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