【内田雅也の追球】中間点で見直すべきチェック 随所に光った好プレーも

2023年07月01日 08:00

野球

【内田雅也の追球】中間点で見直すべきチェック 随所に光った好プレーも
<巨・神> 初回無死、吉川の打球を処理する中野(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1-2巨人 ( 2023年6月30日    東京D )】 東京ドームに響きわたる巨人ファンの大歓声を遠くに聞き、阪神は場内の通路を歩いて引きあげていった。サヨナラ負けは確かに痛い。
 延長10回裏2死無走者で、一発や長打警戒とはいえ、打者は足かけ3年本塁打がない岸田行倫。加治屋蓮のカッターは高く浮いた失投だが、責めるのは酷だろう。今季登板30試合目で浴びた初の本塁打だった。

 ならば問題は打線か。12球団最多8勝の戸郷翔征によく食い下がった。1、3、5回表と一、二塁から4~6番に1本が出なかった。この点を嘆くのも詮(せん)ない。

 こんな時は俯瞰(ふかん)して長いシーズンを見渡したい。これで4位巨人と4・5ゲーム差。夏場を前に混戦模様が強まってきた。

 阪神はきょう7月1日で72試合目を迎える。143試合の中間点だ。

 マラソン解説者の金哲彦が<中間点を折り返し点と思うべからず>と著書『金哲彦のマラソンレース必勝法』(実業之日本社)に書いていた。<後半の方が長く感じる>ためで<フォームチェックを忘れずに>、さらにレースが進めば<相手を気にしない>とあった。

 どこか今の阪神に通じている。中間点での<フォームチェック>、自分たちの現状を見直したい。昨年活躍した救援の浜地真澄や湯浅京己がいない。開幕投手の青柳晃洋も主軸打者の佐藤輝明も2軍にいる。彼らの復調を待ちつつ、今1軍にいる全員で戦いたい。<長く感じる>後半戦に彼らは必ず戦力となる。

 この夜も随所に好プレーがあった。久々先発の西純矢が7回1失点と好投できたのは守備陣の支えがあったからだ。

 初回先頭、吉川尚輝の二塁寄りゴロを中野拓夢がジャンピングスローで刺した。不安な立ち上がりを助けた。2回裏は重圧のかかる2死三塁で木浪聖也が三遊間寄りゴロをランニングスローで刺した。9回裏の4―6―3併殺も素早かった。

 相手ベンチでは巨人総合コーチ・川相昌弘が見つめていた。阪神内野陣にとっては昨年2月のキャンプで臨時コーチを務めた師匠だ。川相は技術指導に加え、精神面のアドバイスも行っていた。たとえば、著書『ベースボールインテリジェンス』(カンゼン)に記したように<日々の生活を野球につなげていく>。

 大切な心構えである。生活を整え、心も新たに中間点を迎えたい。 =敬称略=
 (編集委員)

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