青学大「史上初」の大役やりきった 「野球で貢献できない」昆加奈子さんの貢献

2023年11月21日 17:16

野球

青学大「史上初」の大役やりきった 「野球で貢献できない」昆加奈子さんの貢献
明治神宮大会の終了とともに青学大野球部を引退した昆加奈子主務(撮影・柳内 遼平) Photo By スポニチ
 今秋の東都大学リーグを制した青学大が21日、都内の同大で優勝報告会を行った。楽天からドラフト6位指名を受けた主将の中島は「応援は本当に僕たちの力になりました」と駆け付けた応援団らに感謝した。
 
 明治神宮大会は準優勝で、春秋リーグ戦と全日本大学野球選手権とを合わせた史上5校目の4冠達成は逃した。中島主将とともにチームを支えてきた昆加奈子主務(4年)は「昨日は優勝できなかったという気持ちでいっぱいでした。泣いている選手たちを見て“同じ気持ちなんだ”って。東都と東京六大学にはお互いに“絶対負けられない”という気持ちがある。負けはしましたけど選手たちには(慶大と)同じ力があったと思います」と奮闘した選手を誇った。

 選手たちをまとめ上げるリーダーが「主将」であり、野球部の運営を担い、部外との窓口も担当するマネジャーたちのトップを「主務」という。高校より「自主性」を求められる大学野球部では重要度の高い存在。創部140年目を迎えた青学大野球部。今年2月に昆加奈子マネジャー(4年)が女性として初の主務に就任した。

 「野球では何も貢献できないので、選手が“当たり前のことを当たり前にできる”ようにすることが私たち、マネジャーの役割と思う。いつも100%の準備を心がけたい」。選手と指導者の架け橋として駆け抜けてきた1年。集大成は最後の公式戦となる明治神宮大会。20日の決勝は同じ神宮球場を本拠地とする東京六大学野球連盟の慶大と激突。0―2で競り負けて逃した「四冠」。それでも昆主務は「何度も何度も来た神宮球場で終われることがとてもうれしかった。慶応の応援も凄かった」と悔いなく目に焼き付けた。

 激動の1年だった。春、秋リーグ戦を制し、全日本大学野球選手権では日本一。そして今秋ドラフトではダブルエースの常広、下村が1位指名を受けた。部内のスケジュール調整や会計作業などに加え、連日押し寄せる取材陣への対応。負荷は高かったが、初の女性主務はその責務を全うした。「熊本凌をはじめ、マネジャーたちが支えてくれた。野球部の指導者、選手、みんなとの縁に感謝したい。初めての女性主務を受け入れてくれたことがうれしかった。みんなの明るさ、笑顔がうれしかった」。輝く笑顔が充実の日々を語っていた。

 決勝で敗れた夜を忘れない。影ながらチームに貢献していた昆主務には選手たちからメッセージカードが贈られた。初谷や小田からは「昆さんがベンチにいなくってしまうのはさみしい」。後輩たちの本音に「同期みたいに接してくれる後輩たち。普段言われることはないんですけど、こうやって言葉を届けてくれてうれしい。凄く楽しく大学生活を送ることができました」と心が動いた。

 学生から社会人になる時が近づいている。来春からは商社に就職予定。奮闘の日々は必ず社会人生活に生きる。「大学で成長した部分であったり、自分が持っているものをブラッシュアップしてもっと、社会に貢献できる人になりたいです」。大学生としての「ゲームセット」は社会人としての「プレーボール」。昆主務が「青学大史上初」の大役をやりきった。(柳内 遼平)

 ◇昆 加奈子(こん・かなこ)2001年7月18日生まれ、神奈川県横浜市出身の22歳。聖セシリア女子(神奈川)時代はソフトボール部に所属。青学大では2年春に野球部のマネジャーとなり、4年春に主務に就任。青学大卒業後は商社に就職予定。

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