殿堂入りした谷繁氏 その父・一夫さんが語る素顔 いつも「才能は有限、努力は無限」を心に

2024年01月19日 05:30

野球

殿堂入りした谷繁氏 その父・一夫さんが語る素顔 いつも「才能は有限、努力は無限」を心に
15年、通算3018試合出場のプロ野球新記録を達成した谷繁兼任監督を祝福する父・一夫さん(左)と母・智子さん
 谷繁氏の父・一夫さん(87)が18日、本紙に祝福メッセージを寄せた。幼少期に「野球の申し子」と見抜き、二人三脚で愛息を鍛えた。09年に広島県庄原市の自宅の隣に「谷繁元信 球歴館」を開設。自作の練習道具や野球用具、記念写真などを展示していたが、高齢で近年は体調を崩し、昨年11月に閉館した。病床に届いた吉報を心から喜んだ。
 野球殿堂入り、おめでとうございます。球界でも最高峰の表彰と聞き、私も本当にうれしく思います。直接会って、しっかりと手を握りたいと思いましたが、病床の身でそれはかないません。会えば、涙が出るかもしれません。

 おしめも取れない1歳の頃から、8畳間にカーテンを張って青いプラスチックのバットでテニスボールを打っていました。野球をするために生まれてきた「野球の申し子」と思いました。材木店の倉庫に4~5メートルの竹の棒を立てて棒登りをしたり、冬は雪の多いところなので、毛糸の目出し帽をかぶってお寺の150段ほどの階段を駆け上がって下半身を鍛えました。「しっかり根性をつけろ」と、時にはスパルタ教育に近いことをしたのも覚えています。

 「才能は有限、努力は無限」という言葉があります。息子はいつもそれを心に留めていました。こういった賞をもらえるのは、全て息子の努力のたまものです。プロ4年目の頃に「このままではクビになる」と思った時期もあったそうです。そこでボビー・ローズという選手に出会ったことが大きな節目でした。メジャーリーガーのやり方を見て、とにかく強い体づくりをしないといけないと努力したことが、最多試合出場記録にもつながったと思います。

 横浜時代の98年に甲子園で38年ぶりのリーグ優勝を決め、佐々木選手と抱き合っている姿は、今もまぶたに残っています。もう一つ、中日時代の13年5月に名古屋からずっとチームに付いていき、神宮球場でやっと見届けることができた一、二塁間への2000本安打は、忘れられません。
 私が高齢で運営できなくなり、昨年11月で「球歴館」は閉めました。展示品は全て自宅には残さず、息子の了解も得て、庄原市役所を通して地元の小、中学校などに無償譲渡するつもりです。将来の夢を持つ子供たちの何らかのお役に立てれば、本望です。

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