左右のスライディングを使い分ける 阪神・佐藤輝の意外な器用さ

2024年04月05日 08:00

野球

左右のスライディングを使い分ける 阪神・佐藤輝の意外な器用さ
<神・D>4回、リプレー検証の結果、佐藤輝の得点が認められて盛り上がる阪神ベンチ(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神2-3DeNA ( 2024年4月4日    京セラD )】 【畑野理之の談々畑】意外に器用だなと思う。いや、意外といえば失礼かな。阪神・佐藤輝明の激走で奪い取った2点目は、いずれも猛スライディングで最初アウトの判定をリプレー検証の末にセーフにひっくり返したものだった。
 4回1死一、三塁で梅野隆太郎の中前打で1点を先制。一塁走者の佐藤輝も三塁を狙った。本当に際どいタイミングでアウトを宣告されたが、リクエストが成功。1死一、三塁が残り、続く木浪聖也の一ゴロでオースティンは一塁ベースを踏んだ後に本塁へ送球した。ここも難しい判定となり、立った親指をまた突きつけられたが、チェンジが一転、2点目の生還に変わった。ベンチに戻っていた佐藤輝は楽器のシンバルを鳴らすかのように、広げた両手を叩いて喜んでいた。

 冒頭に器用だと思うと言ったのは、三塁にはヘッドスライディング、そして本塁へは左足を伸ばして(右足を曲げて)のスライディングだったこと。二盗など基本的には左足を伸ばして滑るが、右翼を守っていた22年までは反対の右足を伸ばしたスライディングキャッチも何度もしていた。両方の足でスライディングできる野球選手は多くいるとは思うが、試合の中で状況に応じて使い分けている選手はあまり見ない。走力自慢のソフトバンクの周東佑京はスピードを落とさないために左右を使用しているのは有名だ。1メートル87、96キロの佐藤輝だから器用だと思った。

 今年2月の沖縄キャンプ中に佐藤輝に聞いてみた。
 ――子供の頃に体操のような競技で体の使い方を学んだ?
 「いえ普通にできるようになりました」

 ――走塁時と守備時で使い分けている?
 「特訓みたいなことは何もしてないです」

 つまり減速せずに走って合った方で臨機応変に滑るらしい。

 「ただ、二盗の時などは捕手からの送球が顔に当たらないような向き(左足を伸ばして)で滑ります」

 ちなみに近本光司も左足を伸ばす。どちらが正解ではなく、阪神OBで通算381盗塁の赤星憲広氏も左を伸ばす理由に顔の向きを挙げている。「選手が滑りやすい方でいいんですが、どちらも可能ならロスは少なくなります」。ベースまで勢いを殺さなかった佐藤輝ならではの走塁が明暗を分けたリクエストの連続成功だった。  

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