由伸とは旧知の仲 29試合出場で帰国の選手がナショナルズの4番に座るまで

2024年04月28日 08:00

野球

由伸とは旧知の仲 29試合出場で帰国の選手がナショナルズの4番に座るまで
ドジャース戦で大谷と話をするナショナルズ・メネセス(右) Photo By スポニチ
 ドジャースの山本由伸に25日、完璧に押さえ込まれたナショナルズの中で、ほぼ唯一気を吐いたのが4番打者のメネセスだった。
 4回に先頭で左翼線二塁打を放つなど、山本から3打数2安打。試合はドジャースが快勝したものの、全体に元気がなかったナショナルズでもメネセスの打撃は際立った。その名前にピンと来るファンも多いと思うが、2019年に一時、オリックス在籍したメネセスは元チームメイトから快打を飛ばしたことになる。

 「山本とは知った仲だから、対戦を楽しみにしている。(投手、打者の違いはあるけれど)山本はとても親切で、いつも“ハイ!”とあいさつしてくれていた。フレンドリーないいチームメイトだった」。その前々日、クラブハウスで話を聞いた際、そう述べていた際の快活な笑顔も印象的だった。

 2019年、メネセスはオリックスでは29試合しかプレーしておらず、禁止薬物に陽性反応を示したことですぐ解雇になった。この時のことを反省し、31歳のメキシコ人は「日本のファンに申し訳ないことをした」と素直に謝罪する。その経緯ゆえに日本での日々は苦い思い出なのかと思いきや、意外にも明るい表情で振り返ろうとする。何度かナショナルズ戦で言葉を交わした筆者のこともすぐに覚え、自ら日本の生活や日本の選手について質問してくるのが恒例になった。

 「日本ではいいこともたくさんあったから、いい思い出の中から1つを選ぶのは難しいよ。日本での経験は助けになっていると思う。マイナーリーグ、ウインターリーグ、それから日本での日々があるから今、メジャーでやれているのだろう」

 実際に日本から帰国後、メネセスのキャリアは徐々に飛翔を開始する。2022年にはナショナルズで56試合に出場し、打率・324、13本塁打とブレイク。2023年はWBCでメキシコ代表の主軸として活躍し、メジャーでも154試合で89打点を残すなど、ナショナルズの主軸の役割を確固たるものにした感がある。

 「WBCは素晴らしい経験だった。最後負けてしまったのは残念だったけど、良いことの方を覚えている。またあのトーナメントに出たいと願っているよ」

 もともと陽気な性格なのか、メネセスの言葉はいつもポジティブなものばかり。もちろん日本での薬物違反は周囲を落胆させたし、WBC敗退も悔しかっただろうが、失敗や挫折で消沈しないたくましさがある。自身に足りなかったものを認め、生かせるタイプであるがゆえに遅咲きながらメジャー定着を果たせたのだろう。
 「今春はちょっと苦しんでいるんだけど、向上させていこうとしているところだよ」

 実は今季のメネセスはまだ0本塁打と低迷中。それでも今季最大級の注目投手である山本から快打を飛ばしたことはきっかけになるのではないか。何より、不振の中でも明るさを失わない選手だからこそ、またすぐに巻き返してくるだろうと期待もできるのである。(記者コラム・杉浦大介通信員)

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