「虎に翼」に2人の「天才」 直明役・三山凌輝が明かす魅力
2024年06月14日 12:00
芸能
![「虎に翼」に2人の「天才」 直明役・三山凌輝が明かす魅力](/entertainment/news/2024/06/14/jpeg/20240614s10041000061000p_view.webp)
「脚本を頂いて読んだ時、僕も、なぜ面白いのだろうと考えました。まず脚本の吉田恵里香さんが天才だからだと思います。きれいごとではない、人間の泥くさい部分、矛盾している部分が脚本に落とし込まれていて、人間味があります。描いているのは昭和の時代ですが、テーマの一つである男女差別の問題は現在の社会に通じるものがあり、今の人たちが見ても共感できる作品になっていると思います」
──吉田さんの脚本の作品に出演するのはNHKドラマ「生理のおじさんとその娘」(2023年3月放送)に続いて2作目ですが、吉田さんの脚本で特に天才を感じる部分は?
「『生理の…』もそうですが、吉田さんの脚本には、結構攻めているイメージがあります。そして、攻めていながら、世間の共感を得るような脚本に仕上げるところが天才的だと思います。今回、吉田さんにお会いした時、『虎に翼』について『勉強しながら、なんとか書いています』とおっしゃっていましたが、なんとか書いているというようなレベルではありません。勉強して得た知識をうまく活用してクオリティーの高い作品に仕上げていることに驚きを感じます」
──主演の伊藤沙莉さんの現場での座長ぶりはどうですか?
「気さくで飾らず親しみやすくて人として素敵な方です。最初にお会いした時、沙莉さんのお兄さん(お笑いコンビ『オズワルド』の伊藤俊介)が僕たち(ボーイズグループ『BE:FIRST』)のファンということで、いろいろ話してくれました。僕は、母が沙莉さんのファンで『パラサイト』(伊藤が出演した舞台)を2回見に行っていたので、その話をしました。撮影に入ると、沙莉さんの凄いお芝居に圧倒されました」
──どんな部分が凄いのですか?
「少し前まで雑談で爆笑していたのに本番になった瞬間に大泣きできるんです。お芝居の流れの中で感情を変えるのではなく、本番でいきなり泣く場面から始めても泣くことができる。あれは誰でもできることではありません。そして、いろいろな表情が良い意味で分かりやすい。映像でのお芝居は表情を意識し過ぎると情報を与え過ぎてしまう場合があるので難しい部分があるのですが、沙莉さんには迷いがない。自由にお芝居をして、自分の感情をそのまま表情に出しているように感じます。アジャストが天才的な方なのだと思います」
──三山さんが演じている直明は「真面目で責任感が強く優秀」というようなキャラクターですが、どのように演じていますか?
「そのようにキャラクター説明をすると一見僕とはかけ離れている感じもしますが(笑)、決して真逆な人間ではなく、根本的な熱量や素直さは似ている部分があります。自分があの時代に生まれていたらどうだろうということを考えた上で、自分のヤンチャなところはそぎ落とし、自分の良い部分をそのまま出そうと思いました。直明はとても家族の愛情を受けて育った子供だと思いますが、僕も家族の愛情を受けて育ったので、その点ではそのまま直明に溶け込めると感じました」
──昭和の人物を演じることで心がけたことは?
「僕はもともと周りから『昭和っぽい』と言われることが多いんです(笑)。演じる上では、今っぽい話し方や無駄な動きをしないようにしました。僕はラッパーもやっているので、とても早く口が回るのですが、できるだけゆっくり話すようにもしました」
──直明を演じていて思うことは?
「優しさを持つことが大事だと思います。生きづらい世の中で暮らしていると、せかせかしたりイライラしたりすることもありますが、『虎に翼』の現場に入って直明になると、すっと気持ちが落ち着いて、そんなにイライラする必要はないんだと感じます。撮影していて、気持ちがデトックスされる瞬間があります」
──今後、視聴者に注目してほしいシーンは?
「お姉ちゃん(寅子)の今後に影響を与えるシーンがあります。ずっとお姉ちゃんのことを全肯定して来た直明が、家族との向き合い方に関して自分の意見を言い募る場面で、セリフが多く、長回しで撮影しました。その時、日頃から芝居のダメ出しが厳しい事務所の人が現場に来ていたのですが、撮影が終わった後、初めて本気でほめられました(笑)。演出の方にも『良いシーンになった』と言って頂いたので、僕自身も見るのを楽しみにしています」
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。