高校駅伝女子 神村学園が涙の大逆転V 5区カロラインは天国の先輩、そして母へささげる激走

2023年12月25日 06:00

駅伝

高校駅伝女子 神村学園が涙の大逆転V 5区カロラインは天国の先輩、そして母へささげる激走
大逆転で優勝を飾った神村学園メンバー(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【全国高校駅伝 女子 ( 2023年12月24日    京都市のたけびしスタジアム京都発着の5区間21・0975キロ )】 女子は神村学園(鹿児島)が1時間7分28秒で5年ぶり2度目の優勝を飾った。1分20秒差でたすきを受けたアンカーのカリバ・カロライン(3年)がスタジアム内の最後の直線で仙台育英(宮城)をかわす逆転劇。1秒差で競り勝った。今回は女子のみ5年に1度の記念大会として47都道府県代表と11地区代表の58校が出場。来年以降は男女とも毎回、58校で争うことが決まった。
 異次元の走りだった。大観衆が待つスタジアムへ最初に戻ってきたのは仙台育英。神村学園のカロラインは50メートルほど後ろから追走したが、ここからの脚力が違った。「私はトラックは強い」と話したように、ぐんぐん差を詰め、最後の直線でかわした。差はわずか1秒。高校総体の1500メートル、3000メートルで2年連続2冠を達成した実力を発揮した。

 1区で1年生の瀬戸口凜が首位から31秒差の13位と踏ん張った。区間ごとに少しずつ順位を上げると、4区の小倉陽菜(2年)が8位から3位まで引き上げる快走。1分20秒差でカロラインにたすきを託した。

 前との距離を少しずつ縮めていた残り1キロ付近。沿道から声が聞こえた。「シンシアのために頑張って」――。同校OGで実業団の日立に所属していたバイレ・シンシアさんのことで、4月に病気のため20歳の若さで亡くなった。カロラインにとっては同郷の先輩で入学時からさまざまな指導や助言をくれた、大切な存在だった。

 6月にはケニアで療養中だった母も亡くした。大会前だったが「走ってから帰る(帰国する)」と悲しみに向き合いながら、主将として背中で仲間を引っ張ってきた。有川哲蔵監督(57)は「シンシアが育ててくれたカロライン。カロラインが日本の女子選手を育ててくれた。シンシアが残してくれた財産」と声を震わせた。

 18年に初優勝して以降、涙に暮れた都大路で笑顔の花がようやく咲いた。指揮官は「1、2年生が連覇を目指して頑張ってほしいなと思う」と期待を寄せた。 (杉浦 友樹)

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