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斉藤に来季育成降格…交渉決裂な退団も

2010年08月28日 06:00

野球

斉藤に来季育成降格…交渉決裂な退団も
別メニューで練習を行うソフトバンクの斉藤和
 2度の沢村賞男、ソフトバンクの斉藤和巳投手(32)が、来季は育成選手としての契約を球団から通達されたことが27日、分かった。08年以降、実戦登板から遠ざかっている同投手は今年2月、右肩腱板修復手術を受けて現在は2軍でリハビリ中。復帰は早くても12年シーズンとあって球団も決断を下した。球団を支えたエースが育成選手に降格するのは初のこと。本人は態度を保留しているが、今後の動向が注目される。
 福岡・西戸崎室内練習場でリハビリに励む斉藤は球団の育成降格通達について「それについてはコメントする立場にありません」とだけ話した。関係者の話によると斉藤は今月上旬までに球団事務所に呼ばれた。来季について育成選手としての契約を伝えられたが、斉藤は態度を保留した。
 同投手は03年にプロ野球新記録の先発16連勝をマークするなど、リーグ18年ぶりの20勝(3敗)投手となり日本一の原動力となった。同年と06年の2度、最多勝と投手として最高の名誉である沢村賞も獲得。エースとして活躍するだけでなく、06年から4年間は選手会長を務めるなどチームの中心選手だった。一方で98、08年に右肩を手術。07年10月8日、ロッテとのCS第1戦に登板して以降ここまで実戦登板はない。さらに今年2月に3度目の右肩腱板手術を受けたことで、今後順調に回復しても実戦復帰は再来年の12年シーズンとみられている。
 球団は今オフ、支配下選手登録枠を最大の70から65まで削り、その下に育成選手で構成する「3軍構想」を進めている。過去2年間実戦登板がなく、来季登板の可能性も低い斉藤を支配下登録から外すことで、焦らず治療に専念させたい狙いもある。その一方で、斉藤を外せば支配下枠に余裕を持たせることもできる。斉藤は昨オフ8000万円減の年俸1億2000万円で1年契約を結んでいる。育成降格でも、功労者であることを考えて年俸は1軍最低保障の1500万円前後を考えているが、それでも大幅ダウンは必至となる。
 斉藤自身は球団、福岡に愛着を持っており、支配下選手としての契約延長を望んでいるとみられる。しかし、球団側も来季に向けて慎重な議論を繰り返した上でこの処遇を決めており、結論が覆る可能性は極めて低い。支配下登録選手と育成契約を結び直す際は協約上、一度自由契約選手としなければならない。元エースが他球団流出のリスクもあるが、実戦登板から遠ざかっている右腕の獲得に動く球団があるかは現時点では微妙だ。
 とはいえ今後、両者に歩み寄りがなければ交渉の決裂は必至。日本野球界に数々の歴史を刻んできた右腕が、ソフトバンクのユニホームを脱ぐ可能性も出てきた。

 ◆斉藤 和巳(さいとう・かずみ)1977年(昭52)11月30日生まれ、京都府出身の32歳。南京都2年秋からエース。3年夏の京都大会は8強で甲子園出場はない。95年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入り。98年に右肩手術など入団以来故障に悩まされたが、03年に20勝(3敗)で最多勝、勝率、防御率の投手3冠と沢村賞を受賞。06年まで4年連続2ケタ勝利で06年は2度目の沢村賞にも輝いた。1メートル92、94キロ。右投げ右打ち。

 ◆斉藤これまでの経過
 ▼98年9月19日 右肩関節部の手術。リハビリの末、00年6月24日のロッテ戦(福岡ドーム)でプロ初先発初勝利。
 ▼07年10月8日 1軍最後の登板となったロッテ相手のCS第1戦で4回6安打5失点KO。
 ▼08年1月10日 米国で右肩関節唇修復手術。
 ▼同12月10日 ブルペン投球再開も回復のペースは上がらず08、09年は1、2軍とも試合出場なし。
 ▼09年12月4日 契約更改で前年から40%減の1億2000万円でサイン。08年の2億5000万円の半分以下に。
 ▼10年2月2日 千葉県内の病院で右肩腱板修復手術を受けた。右肩手術は3度目。王会長は復帰まで長期的な視野で見守ると語る。
 ▼同3月17日 リハビリで関東滞在中にタレントのスザンヌとの熱愛が発覚して、球団から厳重注意を受ける。

 ▼ソフトバンク 小林至編成・育成部長 チームが首位争いをする中、個人の契約の話が出るのは残念でなりません。球団としては彼(斉藤)を応援するべく、ベストの方法を検討している。それだけしか言えません。

 ≪日本人選手で育成→支配下復帰は2人だけ≫近年は支配下選手を一度自由契約として、引き続き育成選手として再契約するケースが増えている。このうち日本人選手で育成再契約後に同一球団で支配下に復帰したのは08年の宮本大輔(オ)、今季途中の森田一成(神)だけ。プロ年数10年を超えて育成で再契約したのは、今季11年目で育成となった河内貴哉(広)がいる。退団後に他球団と育成契約し、支配下に昇格した例としては07年中村紀洋(中=現楽天)などがある。

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