プロ野球でも「ピッチクロック」導入検討へ NPBと12球団実行委で議論の可能性浮上 来季以降運用視野

2023年06月12日 03:00

野球

プロ野球でも「ピッチクロック」導入検討へ NPBと12球団実行委で議論の可能性浮上 来季以降運用視野
今季からMLBで導入された「ピッチクロック」(AP) Photo By AP
 プロ野球が投球間に時間制限を設ける「ピッチクロック」の導入を検討することが11日、分かった。日本野球機構(NPB)と12球団による実行委員会で議論する可能性が浮上した。大リーグで今季から導入され、試合時間短縮に成功。3年後の26年第6回WBCでも導入が確実視されており、来季以降を視野に運用を模索していく。
 試合時間短縮は野球界最大にして長年の課題。NPBの昨年の平均試合時間は3時間9分(9回試合のみ)だった。今季「ピッチクロック」を導入した大リーグは、開幕カード全50試合終了時の平均時間が2時間38分。昨年から30分短縮されており、注視してきたNPBでも導入に向け議論する可能性が高まった。

 プロ野球は「リプレー検証」、「コリジョンルール」など大リーグの新ルールを数年遅れで導入。昨年10月の実行委員会後、NPBの井原敦事務局長は「実際に導入したMLBの状況を確認していきます」と運用を見守っていく構えを示していた。7月開催の日本プロ野球選手会の臨時大会でも議題に上がる見通しだ。

 NPBは長年スピードアップを掲げている。16年に時間短縮に最も貢献した選手に贈られる「スピードアップ賞」を設立。18年に導入した申告敬遠もその一環だ。「ピッチクロック」は大リーグで一定の成果が出ており、選手の好意的な意見も多く、開幕前のファンの批判的な声も激減した。

 大リーグ機構(MLB)が主催するWBCは、毎回大リーグのルールを基本に実施。26年大会はピッチクロックの導入が確実視される。連覇へ向かうために対策は不可欠となる。日本球界でも今季、巨人がファームで独自に「投球間タイマー」を導入。守備時の無走者の時のみカウントダウンし、投手の投球テンポを測っている。社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)は3月から類似した「スピードアップ特別規定」を適用した。

 一方で過去には、ワンポイント継投禁止など、日本野球にそぐわないと判断し見送ったものもある。導入には2軍戦や教育リーグなどでテストも必要で、地方開催時など含め、タイマー設置へのハード面の問題もある。新たな「世界基準」に追随すべきか導入を見送るか、今後の議論に注目が集まる。

 ≪社会人では3月から…混乱なく20分短縮≫社会人野球では3月のJABA東京スポニチ大会から投球間の時間制限が適用され、混乱なく試合が進行した。平均試合時間は昨年の2時間50分から、2時間30分と20分の短縮に成功した。

 投手はボールを受けてから走者なしでは12秒、ありでは20秒に制限。走者なしでは最初の違反からボールを宣告し、走者ありでは2度目でボールとする。けん制球やボール交換などの「投手のプレート離脱」は、大リーグ同様のルールとした。

 スポニチ大会では二塁塁審がストップウオッチで時間を計測。4月のJABA静岡大会では投手から見える位置に「クロックボード」が設置され、ハード面の整備も進んでいる。

 ≪09年から「15秒ルール」も現状は罰則ケース少ない≫公認野球規則では5・07(c)投手の遅延行為で「塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する」と規定されている。プロ野球では09年から投手がボールを受けてから15秒以内に投球する「15秒ルール」を採用。アグリーメントで規定され、二塁塁審がストップウオッチで計測してきたが、実際に罰則を受けるケースは少ない。

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