阪神・糸原 8連勝呼ぶ代打決勝打 新しい仲間への気遣い 渡辺諒に森下に…“ヒーロー”が愛される理由

2023年09月11日 05:15

野球

阪神・糸原 8連勝呼ぶ代打決勝打 新しい仲間への気遣い 渡辺諒に森下に…“ヒーロー”が愛される理由
<神・広> 10勝目の阪神・伊藤将(左)と勝ち越し打の糸原は互いの活躍を祝福(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神5ー1広島 ( 2023年9月10日    甲子園 )】 阪神・糸原健斗内野手(31)が10日の広島戦で8回に代打決勝打を放ち、今季3度目の8連勝を呼んだ。2位との直接対決に3戦全勝し、3日間で一気に7減の優勝マジック「5」までカウントダウンを進めた。9月は破竹の8戦全勝。1962年以来61年ぶり2度目のセ・リーグ5球団全てに対する勝ち越しを決め、球団史上最速となる14日のリーグ優勝へ、また一歩前進した。
 一塁塁上で糸原が吠えた。視線の先で、両手や拳を天に突き上げながら最高の仲間たちが笑っている。「こういう日のために準備してきた。(伊藤)将司に勝ちがついて良かった」。8回2死満塁で中前へ値千金の2点適時打。代走・小野寺を送られ、万雷の拍手に背中を押されて戻ったベンチで手荒い祝福が待っていた。甲子園では最後だった広島との直接対決に圧巻の3連勝。18年ぶりのリーグ優勝へ、もう一切の障壁はない。

 「試合に出ている選手も出ていない選手も、ベンチで声を出してやっている。チーム一丸となっている」

 7回には黒子に徹した。1死二、三塁から木浪が打席に向かうと同時に、伊藤将への代打の「ダミー役」としてネクストサークルへと歩を進めた。木浪が申告敬遠を告げられ、伊藤将がベンチから打席へ。切り札の存在をちらつかせる岡田監督の策とはいえ、高めた集中力を一度切り、次に備えることは容易ではなかったはず。しかし、糸原は言う。

 「すんなり(打席に)入ったというか、いつも通り入った。それがいい結果になっただけ。良かったと思う」

 新たに加入した仲間が少しでも早く溶け込めるよう、尽力する。だから、誰からも愛される。5月中旬の名古屋遠征では、昨秋にトレード移籍してきた渡辺諒を焼き肉に誘った。森下が1軍の主力として奮闘を始めた8月中旬の横浜遠征では、気分転換も兼ねて食事に連れ出した。渡辺諒は交流戦などで確かな存在感を見せ、森下は中軸として9月戦線を立派に支えている。その陰には、酸いも甘いもかみ分ける先輩の確かなフォローがある。

 屈指のムードメーカーが生んだ殊勲の一撃。優勝マジックはついに「5」だ。前日の「7」の段階では「片手(で数える数字)にならんと」と慎重だった岡田監督は笑った。「片手、なったですね。まあね、次また甲子園で、相手も巨人だし、楽しみにね。ファンの皆さんも応援してもらいたいですね」。第4コーナーを難なく回り、ゴールテープは目前。糸原は「一試合一試合戦うだけ」と油断はない。心の底から笑うのは、仲間が歓喜のウイニングボールをつかんだ瞬間と決めている。(八木 勇磨)

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